このところ、毎朝、事務所に行くのがつらい。1年前には考えもしなかった。今まで朝はわくわくしながら、今日はこれをやるぞと思いつつ、まず、今後に予定される講演の原稿、昨日の外国人との会話や会議の記録、役所や議員との対話や、読んだ本の要点などを全て文字の記録にする。それから、来月は誰と会い、誰と食事をして、何を頼み、何を聞くか、そのためにどの資料を見て何を調べるかなどを細かく書き留めて、それを実行するたびに線で消す。この満足感を50年以上、当然の如く味わってきた。
最近、気持ちが変わってきた。かつてのワクワク感がなくなってきたのである。
世界情勢を見ると、2024年は選挙の年といわれた。しかし、変化したのは選挙がなかった国だ。2025年は稀に見る激動の年となる。我が国は大丈夫か。
この国のことを考えれば、我々としてするべきことは多すぎる。まず、政治家の定員を減らすべきだ。衆院は小選挙区で300、参院は地方と諸団体で合計100として、国家公務員初級試験の合格を立候補の条件にすべきだ。憲法を知らない議員に立法を任せるのは容認できない。憲法改正は今の審査会長では無理だが、9条改正は必須だ。石破茂氏とは一緒に『国防軍とは何か』(幻冬舎ルネサンス新書)を書き、国防軍編成を推奨した。総理はこれを忘れたのか。
それよりも総理をトランプ氏に会わせようと努力するのは見苦しい。無理に会おうとすると不利になるのはこちらの方だ。日本の自立性とか自律性が問われているのに、メディアや世論を気にしすぎだ。それよりも韓国はどうしたことだ。ユン大統領は立派な指導者なのに断固とした忠言ができる人がいなかったのか。一方で我が官邸の主は毎日、役人を呼んで宿題を与える。役人はメモを取って帰る。これではどこかの独裁国と変わらんではないか。
また、政権が変るたびに横田早紀江さんなどを官邸に呼ぶのはもう、やめにしたらと思う。お母さんがそのたびに、悲しそうな顔をしておられるのを見て耐えられない。
日本には移民がいないと言いつつ、事実上は移民大国だ。それは良いとしても、西欧諸国を見習って移民政策をもっと明確にすべきだ。
日本は伝統文化と独特の風土・習慣を作り上げた歴史的遺産でできている。龍角散の社長から新年の神田明神祭のお誘いをもらった。明神祭に行くと心が洗われる。
そうだ、そのあと、自分はどうしよう。全ての仕事から解放されたら、毎朝、周りの道路を清掃して回ろうか。その前に、まず、清掃具を買わなければ。これはメモに書いておこう。
【倉本聰・富良野風話:最終回】老いる
最近、気持ちが変わってきた。かつてのワクワク感がなくなってきたのである。
世界情勢を見ると、2024年は選挙の年といわれた。しかし、変化したのは選挙がなかった国だ。2025年は稀に見る激動の年となる。我が国は大丈夫か。
この国のことを考えれば、我々としてするべきことは多すぎる。まず、政治家の定員を減らすべきだ。衆院は小選挙区で300、参院は地方と諸団体で合計100として、国家公務員初級試験の合格を立候補の条件にすべきだ。憲法を知らない議員に立法を任せるのは容認できない。憲法改正は今の審査会長では無理だが、9条改正は必須だ。石破茂氏とは一緒に『国防軍とは何か』(幻冬舎ルネサンス新書)を書き、国防軍編成を推奨した。総理はこれを忘れたのか。
それよりも総理をトランプ氏に会わせようと努力するのは見苦しい。無理に会おうとすると不利になるのはこちらの方だ。日本の自立性とか自律性が問われているのに、メディアや世論を気にしすぎだ。それよりも韓国はどうしたことだ。ユン大統領は立派な指導者なのに断固とした忠言ができる人がいなかったのか。一方で我が官邸の主は毎日、役人を呼んで宿題を与える。役人はメモを取って帰る。これではどこかの独裁国と変わらんではないか。
また、政権が変るたびに横田早紀江さんなどを官邸に呼ぶのはもう、やめにしたらと思う。お母さんがそのたびに、悲しそうな顔をしておられるのを見て耐えられない。
日本には移民がいないと言いつつ、事実上は移民大国だ。それは良いとしても、西欧諸国を見習って移民政策をもっと明確にすべきだ。
日本は伝統文化と独特の風土・習慣を作り上げた歴史的遺産でできている。龍角散の社長から新年の神田明神祭のお誘いをもらった。明神祭に行くと心が洗われる。
そうだ、そのあと、自分はどうしよう。全ての仕事から解放されたら、毎朝、周りの道路を清掃して回ろうか。その前に、まず、清掃具を買わなければ。これはメモに書いておこう。
【倉本聰・富良野風話:最終回】老いる