自民党と公明党が昨年12月に取りまとめた2025年税制改正大綱では、自民税制調査会の求心力低下が鮮明になり、宮沢洋一会長とともに同会幹部である加藤勝信財務相を”戦犯”と見る声が永田町や霞が関で出ている。
大綱では、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の123万円までの引き上げが明記されたが、減税効果が小さいことや、そもそも数字が唐突に出た印象が強く、与党内ですら「誰も納得していない」(財務省主税局)。少数与党に転落したとはいえ、あまりに国民民主党に対して防戦一辺倒になり、与党税調の調整能力のなさを露呈したことで「今後に禍根を残した」(与党幹部)可能性があるためだ。
与党は、国民民主側の主張通りに非課税枠を178万円にまで広げると国と地方で7~8兆円の税収減になる点を強調し、国民民主側に財源確保策を示すよう求めたが、これに対しては「単に野党に対案を求めるだけでなく、財政当局の加藤氏に歳出改革など工夫の余地があったのではないか」と疑問視する声が出ていた。
加藤氏は将来の自民党総裁選への出馬に意欲を持っているといわれるが、石破茂首相を支える閣僚としての立場を考えれば「守勢に立たされても自ら汗をかく姿を見せたほうがよかった」(同)ということだろう。
25年3月末は夏の参院選を控え、政局の山場。攻勢を強めるであろう野党を前に加藤氏の”安全運転”ぶりが政権を直撃しかねないとの懸念がすでに出始めている。
一方で、加藤氏以外、石破茂政権で財務相が務まりそうな人材は見当たらない。能力の有無を問わず、参院選前後に退陣するとみられている石破政権と〝心中〟する必要はない、と加藤氏が判断しているのであれば案外したたかなのかもしれない。
【政界】待ち受ける難関をどう乗り越える?「不思議な安定」を続ける石破首相に問われる突破力
大綱では、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の123万円までの引き上げが明記されたが、減税効果が小さいことや、そもそも数字が唐突に出た印象が強く、与党内ですら「誰も納得していない」(財務省主税局)。少数与党に転落したとはいえ、あまりに国民民主党に対して防戦一辺倒になり、与党税調の調整能力のなさを露呈したことで「今後に禍根を残した」(与党幹部)可能性があるためだ。
与党は、国民民主側の主張通りに非課税枠を178万円にまで広げると国と地方で7~8兆円の税収減になる点を強調し、国民民主側に財源確保策を示すよう求めたが、これに対しては「単に野党に対案を求めるだけでなく、財政当局の加藤氏に歳出改革など工夫の余地があったのではないか」と疑問視する声が出ていた。
加藤氏は将来の自民党総裁選への出馬に意欲を持っているといわれるが、石破茂首相を支える閣僚としての立場を考えれば「守勢に立たされても自ら汗をかく姿を見せたほうがよかった」(同)ということだろう。
25年3月末は夏の参院選を控え、政局の山場。攻勢を強めるであろう野党を前に加藤氏の”安全運転”ぶりが政権を直撃しかねないとの懸念がすでに出始めている。
一方で、加藤氏以外、石破茂政権で財務相が務まりそうな人材は見当たらない。能力の有無を問わず、参院選前後に退陣するとみられている石破政権と〝心中〟する必要はない、と加藤氏が判断しているのであれば案外したたかなのかもしれない。
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