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【経済産業省】新エネルギー計画の原案 原発「最大限活用」に転換

財界オンライン 2025年1月24日 11時30分

経済産業省は、2月の閣議決定を目指す新たなエネルギー基本計画の原案をまとめた。再生可能エネルギーとともに原発を「最大限活用する」と明記し、2014年から踏襲してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言は削除。原発を推進する方針を明確化し、東日本大震災後のエネルギー政策を抜本的に転換した。

 同計画はおおむね3年ごとに見直されており、今回が第7次計画となる。新計画は2040年度の電源構成について、再エネが4~5割程度、原発が2割程度、火力が3~4割程度を占めるとの見通しを示した。従来は廃炉になった原発と同じ敷地内でしか認めていなかった建て替えについて、異なる原発の敷地でも可能とする方針も打ち出した。

 従来計画は30年度の電源構成に関し、再エネが36~38%、原発が20~22%、残りが火力などとしていた。原発依存度は10年後も同水準を維持する形になる。デジタル化に伴うデータセンターの増設などで電力需要が増加に転じるため、脱炭素化と経済成長を両立するには原発を継続的に活用する必要があると判断した。

「依存度低減」の文言を削除したのは、こうした政府方針の象徴と言える。電気事業連合会の林欣吾会長は「大きな転換だ」と歓迎の意を表明した。電力業界は、原発活用の方向性が示されたことで、原子力関連の人材確保や資機材の供給網維持につながると期待している。

 ただ、「2割」とする原発比率の実現に向けたハードルは高い。国内の原発33基がほぼ全て稼働しなければ2割には届かない計算となる。現時点で再稼働したのは14基にとどまり、残りは地元理解や安全審査の面で課題が残る。建て替えについても、地元自治体の同意が不透明なことなどから、スムーズに進むかは見通せないのが実情だ。

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