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ニデックが牧野フライスにTOB 次なるターゲットは工作機械

財界オンライン 2025年2月3日 11時30分

ニデックが工作機械メーカーの牧野フライス製作所に対し、株式公開買い付け(TOB)を実施する。買収総額は約2600億円となる見通しだ。

 1973年の創業以来、売上高2兆円を超える世界一の総合モーターメーカーへと成長してきたニデック。その成長の一端を担ってきたのが、相次ぐM&A(買収・合併)戦略。

 近年はEV(電気自動車)向け駆動装置の開発に注力する同社だが、2021年の三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)買収以降、工作機械事業を次の事業の柱に位置付ける。すでに工作機械関連の売上高は1000億円を超えた。

 象徴的なのが、2023年に買収したTAKISAWA。ニデックは以前から秋波を送っていたが、TAKISAWAはこれを拒否。その後、ニデックが〝同意なき買収〟を仕掛けることで同社を傘下に入れた。今回の牧野フライスもニデックから事前の連絡は受けておらず、年明けから特別委員会を設置し、今後の対応を協議中だ。

 この〝同意なき買収〟をどう見るか。かつては〝敵対的買収〟とも呼ばれた手法だが、潮目が変わったのは2023年。

 経済産業省が「企業買収における行動指針」を発表し、〝真摯な買収提案〟に対しては買収提案を受ける側の企業にも真摯な対応が求められるようになった。昨年、第一生命ホールディングスがベネフィット・ワンを買収したが、これももともとは同意なき買収提案だった。

 TAKISAWAを買収した当時、日本電産会長(現在はグローバルグループ代表)の永守重信氏は「経産省も新しい指針を出してくれた。(この手法が浸透すれば)今後はもっと大きな会社が短時間で買える可能性が高まる」と話していた。

 ただ、「事前同意なしの買収では反発を生むだけではないか」という声や「いつだって買収提案は唐突にやってくるもの。あらかじめリスクを想定し、打つべき手を打っておくべきで、正しいことをやっていれば、過度に恐れる必要はない」など、市場でも様々な声がある。

 工作機械分野でもニデックは存在感を示すことはできるか。永守氏の手腕が問われる。

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