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低価格で最高益のサイゼリヤ 値上げで客数減のマクドナルド

財界オンライン 2025年2月4日 15時0分

「ミラノ風ドリアがまだ300円で食べられるのは本当に有難い」─。物価高の中で、あらゆる世代の人々からこのような声が聞こえてくる。

 サイゼリヤの2024年9―11月期の連結決算は、営業利益が前年同期比13%増の39億円と、15年ぶりに過去最高益となった。サイゼリヤはコロナ禍で〝1円値上げ〟をし、50円単位の価格設定にすることで会計のオペレーション効率化を行った以外、大きく値上げすることなく、ここまで耐えてきた。

 原料高価格の上昇を価格転嫁し、周囲の外食企業が軒並み値上げしてきたところ、同社はメニュー数の削減や内部でのオペレーション効率化を徹底。〝値上げしない戦略〟を貫き、ファストフードとファミリーレストランの間の「ファストカジュアル化」を推進してきた。

 同社の客数は9―12月の間で前年同期比平均116.2%、客単価は102.6%(同)と、値上げをせずに低価格を求める顧客の心をしっかりとつかんでいる。他社と比較し相対的に一品価格が安いため、節約志向の中でお財布を気にせずに外食できるという顧客心理を上手に刺激しているといえる。

 一方、日本マクドナルドは直近2年間で5回値上げを実施。昨年1月の改定では全体の約8割の品目を対象とし、バーガー・ドリンク類は10~50円値上げした。第3四半期(7月―9月)では客数が前年同期比で0.2%減。同社社長の日色保氏は、「お客様の理解はある一方で、値上げ疲れもある」と話す。

 第4四半期ではモバイルオーダーの推進で利便性向上や販促施策を強化。客数は3.3%(同)まで回復したが、客単価は0.9%減少。実質賃金がマイナスの中で、消費者は価格に敏感になっている。適正価格をどう設定するか。日色氏など、全ての経営者に求められる経営課題となりそうだ。

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