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【追悼】中西宏明・経団連前会長を偲ぶ 本誌主幹・村田博文

財界オンライン 2021年7月6日 11時30分

日本企業の潜在力を掘り起こし続けた75歳の生涯
 常に「人」の可能性を考える経済リーダーであった――。

経団連・中西宏明会長が語る「バイデン政権誕生と日本企業の役割」

 日本経済団体連合会の前会長で、日立製作所の社長、会長をつとめた中西宏明氏が亡くなった。75歳だった。

時代の転換期にあって、人の可能性を掘り起こし、人は何のために生きるか、そして働くのかを追求してきた人。

2018年5月に第14代経団連会長に就任。3年で病に倒れるということで、本人も「無念」であったと思う。

どんな危機時にあっても、解決策を求めていくタイプの経済リーダー。昨年7月にリンパ腫が再発する前の5月、本誌のインタビューで、コロナ危機の中での生き方について聞いた。

 グローバル化が進み、人間の生活と動物の境目がなくなり、人間と動物が混ざり合う頻度が多くなってきたため、サステナビリティ(持続性)の見直しが必要になってきた――という認識を踏まえて、中西氏が語る。

「まだまだ知恵を出していかないと。日本は人口が減っているけど、世界の人口は増えているわけですから。地球との親和性をもって、どうやって生きていくのかということを考えなければなりませんね」

 中西氏は「公共」という概念を全面に押し出し、株主利益追求だけではない企業活動の重要性を訴え続けた。そして、日本企業の潜在力についても触れ、コロナ禍を克服する治療薬の開発を含めて、「日本にできることはまだまだある」と訴えた。

今年5月、住友化学の十倉雅和会長を経団連の後継会長に指名。その直前にはディー・エヌ・エーの南場智子会長などを新しい副会長に選び、ITなど若い起業家を経団連に巻き込み、最後まで日本企業のあり方を考え、実践し続けた。

【コロナ危機克服へ】真価問われる十倉経団連

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