サウジダービーで愛馬が優勝!
木村が一番を目指すのは、仕事の上だけではない。趣味の世界でもトップを走りたいというのが木村の心意気である。
2021年(令和3年)2月20日、サウジアラビアで開催された『サウジダービー』に、木村の妻・久子が所有する牡馬の『ピンクカメハメハ(Pink Kamehameha)』が出走し、見事優勝した。
ピンクカメハメハは、2018年4月12日生まれのサラブレッド。日本中央競馬会の主催する2020年7月の新馬戦(函館)で勝ち、競馬界では注目されていた。
ところが、「新馬戦で勝った後、負けて、負けて……」と木村が言う通り、これまでの戦績は、中央競馬で6戦1勝。
「新馬戦でのあの強さと言ったら。普段の力について、所属する森厩舎も強いことが分かっていたから、サウジダービーへ連れて行ったわけです」
サウジダービーの賞金は90万ドル。ピンクカメハメハは約9500万円を獲得した。
ただ、ピンクカメハメハが優勝した次のレースでは優勝賞金10億円というレース(『サウジカップ』)もあり、このレースには日本の馬1頭が出走していたが、優勝できなかった。
「サウジのレースはレベルが高い」と木村は感想を述べ、「賞金90万ドルレベルのレースでは満足できません」と言いつつも、優勝自体が嬉しいことに変わりはない。
『ピンクカメハメハ』の購入価格は1千万円で、購入時期は昨年5月。購入からまだ1年経っていない中でサウジダービーに優勝したのだから、快挙である。コロナ禍にあって、明るいニュースと言っていい。
サウジダービーには中東地区での販売を担当しているパキスタン出身の社員、ラーズィーさんが随行した。
「彼はアラビア語が話せるし、厩舎や騎手と現地での対話の通訳を務めたりしてくれました」
【母の教え】木村皓一・ミキハウスグループ社長
このピンクカメハメハ購入には面白いエピソードがある。
木村が所有する馬は10頭で、木村は阪神馬主協会に参加している。所有する馬の登録を妻の久子と一緒にやっているつもりなのだが、うっかりして久子の登録馬がいなかった。
すると、阪神馬主協会から「奥様の登録手続きが長いこと放置されたままです。このままだと奥様は除名ということになります」という通知があったのだ。
これまで夫婦一緒に仕事も始めてきて、趣味の分野でも一緒なら、ということでやってきたのに、これはいけないと「女房の馬をあわてて探し始めたんです」と木村は言う。
そこで森秀行厩舎に相談すると、「面白い馬がいますよ」という返事。
父は名馬リオンディーズ、母はタバサトウショウ。母・タバサトウショウは、2005年の宝塚記念などを制したスイープトウショウを産んでいる。
ちなみにスイープトウショウは、2005年の『JRA賞最優秀4歳以上牝馬』に選ばれ、生涯獲得賞金は7億4千万円を超えている。
ただ、気になるのは、ピンクカメハメハは父が5歳の時、母が25歳の時に産まれたということ。両親は大変な年の差婚である。母馬が25歳の超高齢出産だったこともあって、ピンクカメハメハは売れ残っていた。
競馬界では、過去に両親のこうした”年の差婚”でも立派な戦績を残した馬もいたということで、関係の話も聞いて、木村は「そんなら、その馬にしましょう」と購入を決めた次第。
カメハメハという名前は、1700年代から1800年代にかけて、ハワイを治めていたカメハメハ大王にあやかって名付けた。
昨年の新馬戦でダントツの力強さを見せつけたピンクカメハメハは1年後のサウジダービーで見事勝利をおさめた。
だが、6月20日、東京競馬場で行われたユニコーンステークスに出走したピンクカメハメハは、レース中に急性心不全を発症し、転倒するという悲劇に見舞われた。即死だったという。
「可哀想なことをしました」と木村も落胆した様子を隠さない。やはり両親の”年の差婚”が響いたのであろうか。
「勢いよく走り出したので、応援していたら突然倒れて……。日本のダートで初めてのレースで期待していたんですが」と、早逝を惜しむ木村。
「調教師さんが言うには、あの出だしのスピードでついていったら優勝していましたよと。その言葉を聞いて、余計に惜しいことをしたと思います」と、ピンクカメハメハの健闘を称える木村であった。
強さと優しさ――。共に経営者に求められる要素である。
強さは逆境に遭遇した時でも耐え抜く力。優しさは人それぞれに能力の違いがある中でその人にチャンスを与え、その潜在力を掘り起こす力である。
ピンクカメハメハは3年の短い生涯だったが、力いっぱい疾走していった。人と人の出会いもそうだが、人と馬の出会いにも心を込める木村の”強さと優しさ”である。
(敬称略、以下次号)
ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第12回)
木村が一番を目指すのは、仕事の上だけではない。趣味の世界でもトップを走りたいというのが木村の心意気である。
2021年(令和3年)2月20日、サウジアラビアで開催された『サウジダービー』に、木村の妻・久子が所有する牡馬の『ピンクカメハメハ(Pink Kamehameha)』が出走し、見事優勝した。
ピンクカメハメハは、2018年4月12日生まれのサラブレッド。日本中央競馬会の主催する2020年7月の新馬戦(函館)で勝ち、競馬界では注目されていた。
ところが、「新馬戦で勝った後、負けて、負けて……」と木村が言う通り、これまでの戦績は、中央競馬で6戦1勝。
「新馬戦でのあの強さと言ったら。普段の力について、所属する森厩舎も強いことが分かっていたから、サウジダービーへ連れて行ったわけです」
サウジダービーの賞金は90万ドル。ピンクカメハメハは約9500万円を獲得した。
ただ、ピンクカメハメハが優勝した次のレースでは優勝賞金10億円というレース(『サウジカップ』)もあり、このレースには日本の馬1頭が出走していたが、優勝できなかった。
「サウジのレースはレベルが高い」と木村は感想を述べ、「賞金90万ドルレベルのレースでは満足できません」と言いつつも、優勝自体が嬉しいことに変わりはない。
『ピンクカメハメハ』の購入価格は1千万円で、購入時期は昨年5月。購入からまだ1年経っていない中でサウジダービーに優勝したのだから、快挙である。コロナ禍にあって、明るいニュースと言っていい。
サウジダービーには中東地区での販売を担当しているパキスタン出身の社員、ラーズィーさんが随行した。
「彼はアラビア語が話せるし、厩舎や騎手と現地での対話の通訳を務めたりしてくれました」
【母の教え】木村皓一・ミキハウスグループ社長
このピンクカメハメハ購入には面白いエピソードがある。
木村が所有する馬は10頭で、木村は阪神馬主協会に参加している。所有する馬の登録を妻の久子と一緒にやっているつもりなのだが、うっかりして久子の登録馬がいなかった。
すると、阪神馬主協会から「奥様の登録手続きが長いこと放置されたままです。このままだと奥様は除名ということになります」という通知があったのだ。
これまで夫婦一緒に仕事も始めてきて、趣味の分野でも一緒なら、ということでやってきたのに、これはいけないと「女房の馬をあわてて探し始めたんです」と木村は言う。
そこで森秀行厩舎に相談すると、「面白い馬がいますよ」という返事。
父は名馬リオンディーズ、母はタバサトウショウ。母・タバサトウショウは、2005年の宝塚記念などを制したスイープトウショウを産んでいる。
ちなみにスイープトウショウは、2005年の『JRA賞最優秀4歳以上牝馬』に選ばれ、生涯獲得賞金は7億4千万円を超えている。
ただ、気になるのは、ピンクカメハメハは父が5歳の時、母が25歳の時に産まれたということ。両親は大変な年の差婚である。母馬が25歳の超高齢出産だったこともあって、ピンクカメハメハは売れ残っていた。
競馬界では、過去に両親のこうした”年の差婚”でも立派な戦績を残した馬もいたということで、関係の話も聞いて、木村は「そんなら、その馬にしましょう」と購入を決めた次第。
カメハメハという名前は、1700年代から1800年代にかけて、ハワイを治めていたカメハメハ大王にあやかって名付けた。
昨年の新馬戦でダントツの力強さを見せつけたピンクカメハメハは1年後のサウジダービーで見事勝利をおさめた。
だが、6月20日、東京競馬場で行われたユニコーンステークスに出走したピンクカメハメハは、レース中に急性心不全を発症し、転倒するという悲劇に見舞われた。即死だったという。
「可哀想なことをしました」と木村も落胆した様子を隠さない。やはり両親の”年の差婚”が響いたのであろうか。
「勢いよく走り出したので、応援していたら突然倒れて……。日本のダートで初めてのレースで期待していたんですが」と、早逝を惜しむ木村。
「調教師さんが言うには、あの出だしのスピードでついていったら優勝していましたよと。その言葉を聞いて、余計に惜しいことをしたと思います」と、ピンクカメハメハの健闘を称える木村であった。
強さと優しさ――。共に経営者に求められる要素である。
強さは逆境に遭遇した時でも耐え抜く力。優しさは人それぞれに能力の違いがある中でその人にチャンスを与え、その潜在力を掘り起こす力である。
ピンクカメハメハは3年の短い生涯だったが、力いっぱい疾走していった。人と人の出会いもそうだが、人と馬の出会いにも心を込める木村の”強さと優しさ”である。
(敬称略、以下次号)
ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第12回)