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【東京電力】新たな再建計画も原発頼みの構図は変わらず

財界オンライン 2021年8月2日 7時0分

小林新会長への期待は大きいが…

 

 東京電力ホールディングス(HD)は7月21日、東電福島第一原発事故後の事業再建に向けた「第4次総合特別事業計画」をまとめ、政府に申請した。

 東電HDは廃炉や賠償の原資を確保するため、収益の改善が不可欠となっているが、前提とされる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は相次ぐ不祥事で見通せない。6月に就任した小林喜光会長(前経済同友会代表幹事)を中心に信頼回復に向けた企業統治改革を断行できるかどうかが問われている。

 総合特別計画は2011年の原発事故後、ほぼ3年ごとに策定されており、第4次計画は昨年春公表の予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大や相次ぐ柏崎刈羽原発でのテロ対策不備を受け、東電HDと、出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構は計画案の提出を延期していた。

 東電HDは原発事故の賠償関連で16兆円を負担することになっており、30年にわたり毎年5千億円規模の確保が重要となる。第4次計画では、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働時期を最短で22年度と想定して収支案を算定。1基が動けば年間500億円の利益押し上げ効果が出ると記した。

 ただ、不祥事への不信感を背景に再稼働の見通しは立っていない。仮に最短で稼働できたとしても、30年3月期のグループ主要企業の合計純利益は2千億円超に留まる見通し。東電関係者は「賠償負担の確保は引き続き厳しい状況となる」と認める。

 第4次計画では、政府の「脱炭素」政策を踏まえ、再生可能エネルギー分野に30年度までに最大3兆円を投資する方針も記した。再エネ分野の主力電源化を通じて、収益改善を支えたい考えだが、原発再稼働が収支改善の柱という状況は同じ。

 東電HDの小早川智明社長は「計画の中身を実現していく。スピード感を持って取り組みたい」と意気込みを示した。しかし、取引銀行幹部は「東電が経営体質を改善し、自治体や社会の信頼を回復するまでは何も進まない」と指摘する。政府内には小林新会長の改革力への期待が大きいが、それが軌道に乗るかどうかは予断を許さない。

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