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【国土交通省】観光喚起策「前売り宿泊券」補助金事業が低調

財界オンライン 2021年8月10日 18時0分

観光需要喚起策として旅館・ホテルの割引券を事前に販売する「前売り宿泊券」の補助金事業が低調だ。観光庁などによると、活用しているのは長野、兵庫、鳥取の3県にとどまる。利用客がかなり前に宿泊日程を決めなければいけないスキームが一因となっているようだ。

 前売り宿泊券は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている地域での県内旅行を対象とした「地域観光事業支援」の一環で、観光庁が4月に打ち出した。感染収束後の利用を見越し、宿泊施設が額面より低価格で宿泊券を販売し、売り上げを宿泊事業者の当面の収入源に当ててもらうのが狙いだ。

 期限は12月末の宿泊分までとし、8月末までに宿泊券販売と宿泊予約をする枠組みとした。額面と販売額との差額を同庁の補助金で賄う。

 前売り宿泊券は、長野県が観光庁に要望し実現。同県の担当者は事前に宿泊予約する枠組みについて「前売り券の金額のうち補助金分は実際に宿泊してから施設の手元に入る。事前予約にすれば、施設側が資金繰りの見通しが立てやすい」と意図を説明する。

 同庁は6月、販売・予約の期限を10月末までに延長したが、鳥取県の担当者は予約期限を念頭に「使い勝手が悪い」とこぼす。同県で前売り券を販売しているのは10施設程度と伸び悩む。同県は観光庁が事業を打ち出す前の2、3月、予約期限を設けない県独自の前売り券を販売したが、その際は85施設が参加したという。

 宮城県は、観光庁制度の活用を一時検討したが断念。6月に予約期限を設けない独自の前売り券制度を開始した。同県の担当者は当初の予約期限が8月末だったことに触れ、「利用客の視点に立てば、県内旅行の予約を数カ月前にするのは現実的ではない」と観光庁制度の不備を指摘していた。

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