厚生労働省は、自営業者らが加入する市町村国民健康保険(国保)の2019年度財政状況を発表した。赤字の穴埋めを目的とした市町村一般会計からの繰入金などを除くと、実質収支は前年度から1150億円減って936億円のマイナス。保険料収入の減少などが影響し、2年ぶりの赤字となった。
市町村国保の加入者には定年退職から74歳までの高齢者や低所得者も多く、財政的に厳しい状況が続いている。政府は国保の基盤強化のため、18年度から財政運営の主体を市町村から都道府県に移し、国庫支出金も増額。それが効を奏して18年度は、実質収支の公表を始めた1998年度分以降初めて黒字となった。
しかし、国保加入者は75歳になれば後期高齢者医療制度に移行するため、高齢化の進展に伴って加入者の減少傾向が続いている。現役世代の加入者が企業の健康保険組合に移る人も増えている。2019年度の加入者数は2660万人で、前年度から92万人減った。保険料収入も減り続け、19年度は再び赤字に転じた。同年度の医療費支出は8兆7353億円で、保険料収入の3倍を超える。
国保全体の単年度収入は24兆436億円、支出は24兆741億円。収入には、市町村の一般会計から国保特別会計に繰り入れた赤字補填金1096億円が含まれる。税金などを投入してなんとか収支を保っているのが現状だ。
厚労省によると、今回の発表分に新型コロナウイルス流行の影響はほぼないという。20年度以降の財政状況については、受診控えなどが原因で医療費支給が減るのは確実とみられる一方、加入者の収入減や減免措置の適用などさまざまな不確定要素があるため、現時点で見通しを立てるのは難しいとしている。
【厚生労働省】新型コロナの影響による特例貸し付けが1兆円突破
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厚労省によると、今回の発表分に新型コロナウイルス流行の影響はほぼないという。20年度以降の財政状況については、受診控えなどが原因で医療費支給が減るのは確実とみられる一方、加入者の収入減や減免措置の適用などさまざまな不確定要素があるため、現時点で見通しを立てるのは難しいとしている。
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