肝心の新型コロナウイルス対応も船頭多くして右往左往──。ワクチンの接種を加速させて経済の早期回復をもくろむ菅義偉政権だが、感染の収束は依然、見通しが立っていない。自公の不協和音も目立ち、野党の支持率も低迷。菅首相の不手際や政府与党内の連係ミスも目立ち、政治的混乱が経済再生の壁となる気配さえ漂っている。自民党に代わる政権与党の不在が国民に無力感も与えている。
「経済」話題にならず
東京五輪開催中だった5日、東京都の新規感染者は初めて5000人を突破し、全国規模でも1万5000人を超え、コロナの感染拡大はとどまるところを知らない。
8月末は来年度予算の概算要求が締め切られる時期で、本来ならばどのような政策にどの程度予算を投入するかが話題になる。だが、五輪以外の一般のニュースはコロナの感染拡大ばかりで、コロナで疲弊した経済をどう立て直すか、という話題はほとんど聞こえてこない。
そんな中、政府高官は2021年度補正予算案を編成し、「30兆円規模の追加経済対策を考えている」と明かす。衆院議員の任期満了(10月21日)を見据え、衆院選の前に打ち出し、選挙の目玉とする算段だ。与党が勝利すれば衆院選後の臨時国会か、遅くとも来年1月召集の通常国会冒頭で成立させる構えだ。
これまでも大規模な経済対策は行ってきた。休業・営業時間短縮の要請に応じた飲食店への補償、企業の資金繰りを支援する実質無担保・無利子の融資、雇用者への賃金担保など経済支援のメニューは多い。102兆円規模だった20年度一般会計予算は、3度の補正予算編成の結果、175兆円に膨らみ、21年度予算も当初予算としては過去最高の106兆円に上る。
予算増大の原因はコロナ対策のためで、「疲弊した企業や飲食店の一定の下支えになっている」(自民党幹部)と言える。一方で20年度予算は過去最大の30兆円の繰り越しとなった。例年は5兆円程度で、膨大な予算を使い切れていないことになる。
繰り越しの内訳をみると、最も多いのは実質無利子・無担保融資の経費で、これだけで6兆4000億円に上った。飲食店への支援経費も3兆円を超えた。予算は豊富に用意したが、執行するための事務作業が追いついていない様子がうかがえる。
酒類提供を禁止された飲食店の中には、「店がつぶれる」として営業を行うケースが少なくない。休業・時短、酒類提供の禁止は新型コロナ特別措置法に基づく要請であり、従わなければ違法となる。だが、繁華街は半ば「無法状態」の様相で、資金が飲食店になかなか行き届かないミスマッチが要因の一つとなっている。
一方、財務省は7月、20年度の税収が前年度比4・1%増の60兆8200億円で、過去最高になったと発表した。19年10月の消費税率10%への引き上げによる増収に加え、コロナ禍の「巣ごもり需要」が底支えしたとみられる。街角の実態と乖離しているかのようにも見えるが、コロナ禍の打撃が飲食や観光、旅客輸送業などに集中し、明暗がくっきり分かれる二極化が進んでいる形だ。
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接種証明書は進まず
感染収束の兆しがない中、コロナと共存する「ウィズコロナ」を目指す動きはある。たとえば、ワクチンの接種証明書、いわゆるワクチンパスポートの導入だ。
ワクチンの2回接種が完了したことを示す証明書を客が提示すれば、飲食店での酒類提供やイベントの有観客開催などを可能とする仕組みで、消費拡大へのインセンティブにもなるとの考えだ。
経団連は6月、「社会経済活動を早期に回復に導く際に有効なのが、個人のワクチン接種記録を簡便かつ真正性を担保できるデジタル形式で示すワクチンパスポート」として導入を求める提言を行った。ワクチンパスポートをスマホのアプリに搭載し、それを提示して飲食店やイベントなどでさまざまなサービスを受けられる仕組みにすることを提案している。
フランスやイタリアでは、8月から飲食店や文化施設で接種証明書の提示が義務化された。米国でもニューヨーク市は9月から店内飲食の際は提示を完全に義務化すると発表した。
しかし、日本政府の腰は重い。海外渡航を目的としたワクチンパスポートは7月26日から申請の受け付けを始めたが、国内での発行には二の足を踏む。「ワクチンは自らの判断で接種するもので、接種の強制や不当な差別的取り扱いにつながることは適切でない」(官房長官の加藤勝信)というのがその理由だ。
身体的理由でワクチンが接種できない人もいる。信念で拒否する人も一定数、存在する。接種が法律で義務付けられているわけではない。欧米でもワクチンパスポート義務化反対のデモが起きている。
ただ、日本の場合は別な理由もありそうだ。そもそも政府がワクチンを十分確保していると強調する一方、現実問題として接種を希望してもなかなか受けることができない人たちがいる。
需要と供給のミスマッチのほか、理由として事務作業を行う市区町村の人員不足も挙げられる。ワクチン接種は全国で1日100万回を超えるペースだが、接種日や接種回数といった個人の接種状況を記録・管理するワクチン接種記録システム(VRS)への入力が各市区町村や医療機関で滞っている。VRSへの入力は煩雑で、人手不足の状態にあるからだ。
すでに導入された海外渡航用のワクチンパスポートの発行は市区町村が行う。現時点で発行対象の国は一桁にとどまり、需要は多くない。しかし国内向けとなると、最大1億人分近くとなる見込みで、疲弊している市区町村の負担が格段に増えることになる。
事務作業のデジタル化が進んでいれば、こうした問題も改善されたはずだが、コロナ禍で露呈した日本の行政のデジタル化の遅れは、ここでも浮き彫りになっている。
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ピンチがチャンスにならず
陰鬱な雰囲気の中、ピンチをチャンスにとばかりにサプライチェーンの見直しの機運も高まった。感染拡大当初、海外に多くを依存していたマスクや医療資材が不足し、自動車などの部品の調達も滞る事態となった。
日本でも、コロナを機にかつて世界トップだった半導体の生産能力を高めようとの動きが出ている。コロナ禍前の19年時点で日本のシェアは16%にとどまり、台湾や韓国の後塵を拝していた。中国や米国は世界中で不足が指摘されている半導体の生産能力を向上させる計画を発表している。
日本政府も経済安全保障の観点も含め3月に「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を立ち上げ、自民党では党税制会長の甘利明が安倍晋三、麻生太郎の両元首相らに呼びかけ、5月に「半導体戦略推進議員連盟」を設立。政府に予算拡大などを求めている。
だが、こうした動きも感染拡大であまり目立たず、依然、海外生産に力点を置く企業が国内に拠点を移す大きな流れまでには至っていない。
もはやワクチン接種の促進以外に打つ手がないかのような菅の足元は非常に危うい情勢にもなってきた。
今月2日、政府はコロナ感染者の入院をめぐり新たな方針を決定した。入院は重症者や重症化リスクが高い患者を優先し、中等症の患者は原則自宅での療養とする内容だ。
感染者が急増した東京都を念頭に、医療体制の逼迫を避けるために事前に対応を確認しただけともいえるが、これが全国一律で中等症患者を「自宅放置」すると受け止められた。逼迫を防ぐための必要性を説明すれば回避できたであろう「誤解」だった。
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政権末期の様相も
菅の言葉足らずは今に始まったことではない。もっと深刻だったのは与党の対応だった。7月に経済再生担当相の西村康稔が、政府の要請に応じず酒類提供を続ける飲食店に金融機関から順守の働きかけを行ってもらうと発言した。事前に知らされていなかった与党が反発し、西村は撤回に追い込まれた。その教訓として、政府与党はコロナ対策の連絡会議を設置した。
7月28日の初会合には加藤や西村、自民党・二階俊博、公明党・石井啓一の両幹事長が出席し、今後連携を密にしていくことを確認した。そして8月2日に政府が入院の新方針を発表した。自公の幹事長と国対委員長は翌3日の会談で、「国民に理解と協力がいただけるように丁寧な説明をしてほしい」と注文は付けたが、新方針を容認した。公明党代表の山口那津男も3日の菅との昼食で「丁寧な対応」を要望しただけだった。
ところが、「自宅放置」のニュースが広まると自公の態度は一変した。自民党政調会長の下村博文や公明党政調会長代理の高木美智代らが次々と撤回を含む見直しを求めた。すると政府与党は新たにコロナ対策の実務者協議を設け、5日に初会合を開いた。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務める尾身茂に至っては、4日の衆院厚生労働委員会で、新しい入院の方針について「相談はない」と明言した。毎日コロナ対策を協議している専門家のトップにさえ新方針が知らされていなかった。菅をはじめ与党幹部のガバナンスの欠如を露呈した。
こうした中、菅も広島に原爆が投下された6日の平和記念式典で行ったあいさつで、「核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くす」という重要な部分を読み飛ばした。9日の長崎の式典では会場入りが約1分遅れた。
広島での失態は、蛇腹状にしたあいさつ文の紙をくっつけた糊がはがれず、長崎は直前に寄ったトイレが遠い距離にあったからだという。いずれも事務方のミスとはいえ、少なくとも「読み飛ばし」は、きちんと意味を理解して読んでいれば文章が不自然であることに気づくはずで、その場で修正が可能だった。
こうなると、菅の首相としての資質が問われる事態にもなる。困難の中で開催した五輪での日本の金メダルラッシュ、ワクチン接種の促進で世の中の雰囲気をよくした上で、9月5日のパラリンピック閉会直後に衆院を解散し、9月下旬予定の総裁選を凍結した上で、衆院選で自公過半数を維持し、総裁選を無投票再選で乗り切るとの算段は崩れつつある。 (敬称略)
【政界】追い込まれた菅首相が無投票再選? 総裁選で透ける自民党実力者の思惑
「経済」話題にならず
東京五輪開催中だった5日、東京都の新規感染者は初めて5000人を突破し、全国規模でも1万5000人を超え、コロナの感染拡大はとどまるところを知らない。
8月末は来年度予算の概算要求が締め切られる時期で、本来ならばどのような政策にどの程度予算を投入するかが話題になる。だが、五輪以外の一般のニュースはコロナの感染拡大ばかりで、コロナで疲弊した経済をどう立て直すか、という話題はほとんど聞こえてこない。
そんな中、政府高官は2021年度補正予算案を編成し、「30兆円規模の追加経済対策を考えている」と明かす。衆院議員の任期満了(10月21日)を見据え、衆院選の前に打ち出し、選挙の目玉とする算段だ。与党が勝利すれば衆院選後の臨時国会か、遅くとも来年1月召集の通常国会冒頭で成立させる構えだ。
これまでも大規模な経済対策は行ってきた。休業・営業時間短縮の要請に応じた飲食店への補償、企業の資金繰りを支援する実質無担保・無利子の融資、雇用者への賃金担保など経済支援のメニューは多い。102兆円規模だった20年度一般会計予算は、3度の補正予算編成の結果、175兆円に膨らみ、21年度予算も当初予算としては過去最高の106兆円に上る。
予算増大の原因はコロナ対策のためで、「疲弊した企業や飲食店の一定の下支えになっている」(自民党幹部)と言える。一方で20年度予算は過去最大の30兆円の繰り越しとなった。例年は5兆円程度で、膨大な予算を使い切れていないことになる。
繰り越しの内訳をみると、最も多いのは実質無利子・無担保融資の経費で、これだけで6兆4000億円に上った。飲食店への支援経費も3兆円を超えた。予算は豊富に用意したが、執行するための事務作業が追いついていない様子がうかがえる。
酒類提供を禁止された飲食店の中には、「店がつぶれる」として営業を行うケースが少なくない。休業・時短、酒類提供の禁止は新型コロナ特別措置法に基づく要請であり、従わなければ違法となる。だが、繁華街は半ば「無法状態」の様相で、資金が飲食店になかなか行き届かないミスマッチが要因の一つとなっている。
一方、財務省は7月、20年度の税収が前年度比4・1%増の60兆8200億円で、過去最高になったと発表した。19年10月の消費税率10%への引き上げによる増収に加え、コロナ禍の「巣ごもり需要」が底支えしたとみられる。街角の実態と乖離しているかのようにも見えるが、コロナ禍の打撃が飲食や観光、旅客輸送業などに集中し、明暗がくっきり分かれる二極化が進んでいる形だ。
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接種証明書は進まず
感染収束の兆しがない中、コロナと共存する「ウィズコロナ」を目指す動きはある。たとえば、ワクチンの接種証明書、いわゆるワクチンパスポートの導入だ。
ワクチンの2回接種が完了したことを示す証明書を客が提示すれば、飲食店での酒類提供やイベントの有観客開催などを可能とする仕組みで、消費拡大へのインセンティブにもなるとの考えだ。
経団連は6月、「社会経済活動を早期に回復に導く際に有効なのが、個人のワクチン接種記録を簡便かつ真正性を担保できるデジタル形式で示すワクチンパスポート」として導入を求める提言を行った。ワクチンパスポートをスマホのアプリに搭載し、それを提示して飲食店やイベントなどでさまざまなサービスを受けられる仕組みにすることを提案している。
フランスやイタリアでは、8月から飲食店や文化施設で接種証明書の提示が義務化された。米国でもニューヨーク市は9月から店内飲食の際は提示を完全に義務化すると発表した。
しかし、日本政府の腰は重い。海外渡航を目的としたワクチンパスポートは7月26日から申請の受け付けを始めたが、国内での発行には二の足を踏む。「ワクチンは自らの判断で接種するもので、接種の強制や不当な差別的取り扱いにつながることは適切でない」(官房長官の加藤勝信)というのがその理由だ。
身体的理由でワクチンが接種できない人もいる。信念で拒否する人も一定数、存在する。接種が法律で義務付けられているわけではない。欧米でもワクチンパスポート義務化反対のデモが起きている。
ただ、日本の場合は別な理由もありそうだ。そもそも政府がワクチンを十分確保していると強調する一方、現実問題として接種を希望してもなかなか受けることができない人たちがいる。
需要と供給のミスマッチのほか、理由として事務作業を行う市区町村の人員不足も挙げられる。ワクチン接種は全国で1日100万回を超えるペースだが、接種日や接種回数といった個人の接種状況を記録・管理するワクチン接種記録システム(VRS)への入力が各市区町村や医療機関で滞っている。VRSへの入力は煩雑で、人手不足の状態にあるからだ。
すでに導入された海外渡航用のワクチンパスポートの発行は市区町村が行う。現時点で発行対象の国は一桁にとどまり、需要は多くない。しかし国内向けとなると、最大1億人分近くとなる見込みで、疲弊している市区町村の負担が格段に増えることになる。
事務作業のデジタル化が進んでいれば、こうした問題も改善されたはずだが、コロナ禍で露呈した日本の行政のデジタル化の遅れは、ここでも浮き彫りになっている。
【厚生労働省】市町村国民健康保険 保険料収入減で2年ぶり赤字
ピンチがチャンスにならず
陰鬱な雰囲気の中、ピンチをチャンスにとばかりにサプライチェーンの見直しの機運も高まった。感染拡大当初、海外に多くを依存していたマスクや医療資材が不足し、自動車などの部品の調達も滞る事態となった。
日本でも、コロナを機にかつて世界トップだった半導体の生産能力を高めようとの動きが出ている。コロナ禍前の19年時点で日本のシェアは16%にとどまり、台湾や韓国の後塵を拝していた。中国や米国は世界中で不足が指摘されている半導体の生産能力を向上させる計画を発表している。
日本政府も経済安全保障の観点も含め3月に「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を立ち上げ、自民党では党税制会長の甘利明が安倍晋三、麻生太郎の両元首相らに呼びかけ、5月に「半導体戦略推進議員連盟」を設立。政府に予算拡大などを求めている。
だが、こうした動きも感染拡大であまり目立たず、依然、海外生産に力点を置く企業が国内に拠点を移す大きな流れまでには至っていない。
もはやワクチン接種の促進以外に打つ手がないかのような菅の足元は非常に危うい情勢にもなってきた。
今月2日、政府はコロナ感染者の入院をめぐり新たな方針を決定した。入院は重症者や重症化リスクが高い患者を優先し、中等症の患者は原則自宅での療養とする内容だ。
感染者が急増した東京都を念頭に、医療体制の逼迫を避けるために事前に対応を確認しただけともいえるが、これが全国一律で中等症患者を「自宅放置」すると受け止められた。逼迫を防ぐための必要性を説明すれば回避できたであろう「誤解」だった。
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政権末期の様相も
菅の言葉足らずは今に始まったことではない。もっと深刻だったのは与党の対応だった。7月に経済再生担当相の西村康稔が、政府の要請に応じず酒類提供を続ける飲食店に金融機関から順守の働きかけを行ってもらうと発言した。事前に知らされていなかった与党が反発し、西村は撤回に追い込まれた。その教訓として、政府与党はコロナ対策の連絡会議を設置した。
7月28日の初会合には加藤や西村、自民党・二階俊博、公明党・石井啓一の両幹事長が出席し、今後連携を密にしていくことを確認した。そして8月2日に政府が入院の新方針を発表した。自公の幹事長と国対委員長は翌3日の会談で、「国民に理解と協力がいただけるように丁寧な説明をしてほしい」と注文は付けたが、新方針を容認した。公明党代表の山口那津男も3日の菅との昼食で「丁寧な対応」を要望しただけだった。
ところが、「自宅放置」のニュースが広まると自公の態度は一変した。自民党政調会長の下村博文や公明党政調会長代理の高木美智代らが次々と撤回を含む見直しを求めた。すると政府与党は新たにコロナ対策の実務者協議を設け、5日に初会合を開いた。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務める尾身茂に至っては、4日の衆院厚生労働委員会で、新しい入院の方針について「相談はない」と明言した。毎日コロナ対策を協議している専門家のトップにさえ新方針が知らされていなかった。菅をはじめ与党幹部のガバナンスの欠如を露呈した。
こうした中、菅も広島に原爆が投下された6日の平和記念式典で行ったあいさつで、「核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くす」という重要な部分を読み飛ばした。9日の長崎の式典では会場入りが約1分遅れた。
広島での失態は、蛇腹状にしたあいさつ文の紙をくっつけた糊がはがれず、長崎は直前に寄ったトイレが遠い距離にあったからだという。いずれも事務方のミスとはいえ、少なくとも「読み飛ばし」は、きちんと意味を理解して読んでいれば文章が不自然であることに気づくはずで、その場で修正が可能だった。
こうなると、菅の首相としての資質が問われる事態にもなる。困難の中で開催した五輪での日本の金メダルラッシュ、ワクチン接種の促進で世の中の雰囲気をよくした上で、9月5日のパラリンピック閉会直後に衆院を解散し、9月下旬予定の総裁選を凍結した上で、衆院選で自公過半数を維持し、総裁選を無投票再選で乗り切るとの算段は崩れつつある。 (敬称略)
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