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マネロン対策はなぜ進まない? 国際組織が報告書公表へ

財界オンライン 2021年8月27日 7時0分

各国・地域のマネーロンダリング(資金洗浄)対策を調べる国際組織「金融活動作業部会(FATF)」は近く、日本に対する第4次審査の結果を公表する。

 関係筋によると、地銀などを中心に口座開設後の本人確認や取引内容の継続的なチェックが不十分などとして、前回08年審査に続き再び「不合格」と判定される見通しだ。

 国際社会でテロ・犯罪資金の根絶を求める声が強まる中、FATFから再び厳しい評価を受けることに金融庁は危機感を強める。前回審査では約半数に当たる25項目で不備が指摘され、「重点フォローアップ国」に指定された。その後のFATFからの改善要請への対応にも手こずり、14年に「日本の対応は(主要国の中で)最も遅れている」と名指しで非難された。

 このため、金融庁は18年以降、金融機関に口座開設時の本人確認の厳格化などを要求。同年に四国の地銀から総額5億円を超える資金が香港経由で北朝鮮に流れる事件が報道されたことから、不審な取引がないかを継続的にチェックできる体制を整えることも求めてきた。しかし、そんな努力も実を結ばず、合格ラインに達しなかった模様。

 メガバンクは疑わしい取引を検知するシステムを導入するなどマネロン対策を進めるが、システムを数年ごとに更新する必要があり、その都度、数十億円単位の追加投資が必要という。監視部門に数百人単位の人材も投入しており、収益環境が厳しい中でコストをどう賄うかが課題。

 一方、資金力や人材力に乏しい地域金融機関の場合は、単独では十分なマネロン対策が講じ難いのが実情。また、ゆうちょ銀行の場合は、全国の郵便局に窓口業務を委託している複雑な運営構造もあり、一筋縄には行かない事情もある。

 全国地方銀行協会は今春、共通の顧客管理システムを導入する方針を決めたが、信金・信組や、ゆうちょ銀など全ての金融機関が足並みを揃えなければ、「マネロン対策後進国」の汚名返上は難しい。

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