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【働き方をどう考える?】サントリーHD・新浪剛史社長の「45歳定年制」発言が波紋

財界オンライン 2021年10月12日 15時0分

「日本企業の強みとされた終身雇用に個人が甘んじないようにするための問題提起になるのではないか」─。某人材サービス会社のトップはこう語る。

 サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が9月9日の経済同友会の夏季セミナーにて「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」と発言したことが波紋を呼んでいる。

 一部から「リストラするということか? 」といった誤解を招いているようだが、新浪氏が強調したかったのは45歳という年齢を境に自らのキャリアを見直し、会社に頼らない姿勢を持つことの重要性を説いたもの。

 かねてより新浪氏は人工知能の第一人者である東京大学教授の松尾豊氏を例に挙げ、「日本にはスーパー人材が少ない。もっと自己研鑽できる環境を整えなければならない」と語っている。自らが三菱商事からローソンに転じたのが44歳ということもあるのかもしれない。

 実際、高年齢者雇用安定法により企業の定年は60歳と定められており、65歳までは希望者全員を雇用しなければならないと義務付けられている。また、今年4月からは70歳までの雇用が努力義務とされた。45歳でリストラができるわけではない。

 新浪氏の発言に対し、「終身雇用は今後無くなる流れにあるのではないか。複数の収入源を持たなければならない」(Webマ
ーケティングコンサルタントの女性)といった声もある。企業でも塩野義製薬が2022年度から希望社員に週休3日制を適用。副業や学び直しを支援する。

 長期間にわたって1企業に勤め続けることが給与面で恵まれているかと言うと、そうでもない。1千人以上の大企業を対象とした平均給与は、2000年は1カ月当たり約45万円だったが、09年には40万円ほどにまで下がっている。

 一般的に40代とは業務に関する意思決定ができる立場となり、給与面でも相応の金額を受け取ることができる年代。しかし、コロナ禍でデジタル化が一気に加速する中で「ITツールも満足に使いこなせずに高給取りになっている人もいる」という経営サイドの声もある。

 個人の努力をどう評価し、個人の能力に応じた報酬体系やキャリア形成をどう考えていくか。新浪氏の発言から日本企業は大きな課題と向き合うことになる。

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