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1万2,800年前の彗星大気突入が、寒冷化の引き金に? カリフォルニア大の研究

財経新聞 2024年7月3日 16時14分

 ヤンガードリアス期は、今から1万2,000年程前、氷河期が終わり、地球の温暖化が始まりつつあった頃、北半球の高緯度地域でそれと逆行する寒冷化が起こった時代を指す言葉だ。寒冷化の原因として、彗星衝突説や北大西洋における熱塩循環弱体化説などが唱えられているが、いずれも決め手を欠く。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者は、1万2,800年前に地球大気に彗星が突入し、それが原因で寒冷化が起こったとする説を発表した。

 これまで彗星衝突説が決め手を欠いたのは、ヤンガードリアス期直前の彗星衝突クレーターが発見されなかったためだが、今回の研究では、クレーターの痕跡ではなく、彗星が地球大気をかすめた際の痕跡となるデータが提示されている。

 実は、ヤンガードリアス期に地球に衝突したかもしれない巨大クレーターとして、2018年11月、グリーンランドで直径31kmのハイアワサクレターが発見されている。だが科学者らの見解は、このクレーターが形成されたのは、1万2,000年前かもしれないし、1万5,000年前かもしれないという曖昧なものだ。そのためハイアワサクレーターを形成した彗星衝突が、ヤンガードリアス期の寒冷化の引き金になったという主張にまでは、至っていない。

 今回の研究では、1万2,800年前の堆積層として北アメリカ東部の離れた3カ所(メリーランド州パーソンズ島、ニュージャージー州南部のニュートンビル砂場、サウスカロライナ州フラミンゴ湾)を分析。彗星のエアバーストから生じるヤンガードリアス境界宇宙衝撃層を表すプラチナ、微小球体、および溶融ガラスの存在が確認できたという。

 今回堆積層で確認された粒子は、彗星衝突による巨大圧力でもたらされるものとは異なり、大気衝撃に匹敵する比較的小さな圧力でもたらされたものであることが証明されている。同じようなメカニズムで、他の時代にも地球の気候変動が起こっていたかもしれず、今回の研究によるアプローチは、他の気候変動原因究明にも大いに役立つかもしれない。

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