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今期上方修正「売上・利益・配当」過去最高、三洋貿易の今後の展開

財経新聞 2024年7月9日 9時34分

 三洋貿易(東証プライム)。ゴム・化学品商社。従業員の大半が技術系で、メーカー機能も有している。自動車向けが主軸。

 5月9日、今9月期計画を上方修正した。新予想は「1.78%増収(1260億円)、0.9%営業増益(68億円)、4.9%経常増益(75億円)、1.45%最終増益(49億円)、2円増配45円配」。過去最高の売上・利益・配当額に、である。

 6月28日、執行役員経営企画部長の難波嘉己氏とZoom取材の機会を得た。難波氏は上方修正の背景を、こう説明した。「中国などの景気減速の影響はあったが、日系自動車企業の生産好調や飼料加工機器の好転、バイオ分野の研究支援機器の販売好調などで過去最高の売上高となった。利益面でも化学品セグメントで高付加価値商材の販売増・価格見直しによる利益率改善、海外現法での新規商売開始等による利益増加、為替差益の計上などで過去最高を・・・」とした。株価も素直に好感した。

 饒舌な説明に接すると、ついつい「意地悪虫」が頭をもたげる。

 こんな遣り取りをした。三洋貿易は至2028年9月期の中計で「営業利益90億円(23年9月期比33.5%増)、ROE10-12%」を掲げている。

 「自動車関連は競争状況が指摘されているが!?」-『得手(高付加価値)分野で攻めている。トヨタの豊田(章男)会長も言っているように、業界は100年に1回の転換期を迎えている。EV化などがその象徴だが、内装も当然進化していく。チャンスと捉えている。車内の内装はリビングルーク化しよう。当社ならではの内装材の開発で対応していく』。

 「総投資額200-300億円としているが、内容を具体的に知りたい」-『事業投資が主。具体的にはM&Aだ。これまでにも120億円程度のM&Aを実施している。決して大規模ではない。特異な技術を持つ企業で、1件当たりは多くても10-20億円規模だ』。

 「株主対応策として配当金の着実増を掲げているが、28年9月期の目標配当は視野に入れているか」-『目標はあるが、いま公にはできない。要は投資妙味を示し、株主数・出来高の増加を図りたい。この間数回にわたり金融機関などの保有株を買い取り、市場で売っている。新株の市場増は株価の下押し要因という見方もあるが、幸い目的を達成している。安定個人株主を増やすことが当社のこれからを見据える上で、重要だと考えている。中計ではDEレシオ0.5倍未満、自己資本比率50%以上を掲げている。自己資本比率低下はレバレッジの上昇に繋がるが適当な範囲で断行する。安定個人株主対策だ』。

 取材当日の株価は1600円。予想税引き後配当利回り2.25%水準。が中長期投資の妙味も、過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスが示していると言える。2.4倍強・・・

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