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相場展望7月4日号 米国株: ISM非製造業の指数が50割れとなり、景気浮揚の金利低下期待が膨らむ 日本株: 円安の進行と短期筋の海外勢の買いが勝るが、反転に備えも

財経新聞 2024年7月4日 10時45分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)7/1、NYダウ+50ドル高、39,169ドル  2)7/2、NYダウ+162ドル高、39,331ドル  3)7/3、NYダウ▲23ドル安、39,308ドル

●2.米国株 : ISM非製造業の指数が50割れとなり、景気浮揚の金利低下期待が膨らむ

 1)テレビ討論で、トランプ氏の大統領選挙勝利と見込み、金利が上昇、その後低下   ・米金利の推移  6/28   7/1   7/2   7/3     10年債金利  4.392% 4.461  4.432  4.356     02年債金利  4.749  4.756  4.741  4.708

  ・米金利は、トランプ氏によるバラマキ政策で市場金利が上昇するとの観測で一時上昇したが、その後の経済指標の落ち込みから景気下支え策として9月金利引下げとの見方がでて、米金利は低下基調となった。

  ・経済指標とは6月の非製造業(サービス業)景況指数が48.8と、市場予想の52.8を下回るとともに、2ヵ月ぶりの好不況の境目である50をも割り込んだことを指す。

  ・金利低下基調は、株式相場にとって相対的に割高感が薄らぎプラスに働くため、株価にとって下支えの役割を果す。

  ・FRBが金利引下げについて慎重姿勢を保っているだけに、今後の経済指標の動向に注目したい。

 2)7/2米株式市況、テスラ大幅高でハイテクに買い、祝日と雇用統計を控えて薄商い   ・テスラの株価反発は、ハイテク株に波及し、株価上昇の起爆に寄与するだろう。

  ・薄商いも、売り筋が引っ込む要因となり、買い方にとってにとってプラスに働きやすい。

 3)最高経営責任者(CEO)など有力者による自社株売却が相次ぐ   ・アマゾン創業者ベゾス氏が保有株約50億ドルを売却へ、最高値更新を受け。アマゾンは年初から+30%超値上がりしている。2月にも株価急騰を受け、ベゾス氏は約85億ドル売却している。

  ・エヌビディアのファンCEOも自社株130万株を最近、売却した。売却額は1億6,900万ドル(約270億円)。

  ・企業有力者による自社株売りは、株式相場に冷や水を浴びせたのも同然。後追いの自社株売りが続くか、注意したい。

●3.米ISM非製造業総合指数6月は48.8、4年ぶりの低水準、受注が低下(ロイター)

 1)5月の53.8から低下し、拡大・縮小の分岐点となる50を下回った。2020年5月以来、4年1カ月ぶりの低水準となった。ロイターがまとめた市場予想は52.5だった。新規受注指数が前月の54.1から47.3に大幅に低下し、2022年12月以来の低水準。

 2)景気が失速している可能性を示唆した。

●4.利下げ前に、米インフレ鈍化を示す一段のデータが必要=FRB議長(ロイター)

 1)「率直に言って米経済は好調なため、利下げには時間を掛けて対応できる」と述べた。

●5.米国の実体経済に弱体化の兆候も、軟着陸はなお可能=シカゴ連銀総裁(ロイター)

●6.米求人件数、5月は814万件と予想外に増加、労働需要の減速傾向が一服(ブルームバーグ)

 1)予想は794.6万件、前月は791.9万件。

●7.AI主導の米株高、ドットコムバブルと類似点、バブル崩壊を警戒(ロイターより抜粋

 1)人工知能(AI)を巡る興奮に後押しされた米国株の上昇は、20年前のドットコムバブルと比較され、楽観論によって株価が再び膨らんでいるとの疑問が強まっている。

 2)人工知能フィーバーは、底堅い経済と好調な企業業績とが相俟って、   ・S&P500指数が、2022年10月の安値から+50%以上上昇。   ・ナスダック総合指数も、2022年末から+70%以上値を上げている。

 3)現在のAIブームと、ドットコムバブルとの類似点がある   ・エヌビディアなど巨大テック株の一部銘柄が、1990年代後半の「4騎士」(シスコ、デル、マイクロソフト、インテル)を想起させる。

 4)懸念されるのはドットコム・ブームと同じ結末を迎える可能性   ・ナスダック総合指数は、3年余りで4倍近くなったが、2000年3月のピークから2002年10月までに約▲80%下落した。

  ・S&P500種指数は、同じ期間で2倍になったが、その後▲50%近く株価を下げた。

  ・アマゾンなど一部のインターネット銘柄は生き残り、最終的には繁栄した。しかし、他の多くの銘柄は回復しなかった。

 5)ハイテク株が高値を更新し続ければ、AIバブルの可能性が高まる   ・バブルが発生する時、株購入にどれだけ代価を払っても買いに向かわせる熱狂を産み出す。

●8.米ブラックロック、バッファー型ETFを7/1開始、相場下落の損失を100%ヘッジ(Quick)

●9.米エヌビディア、フランス当局が反競争行為の疑いで告発へ(Quick)

 1)エヌビディアはAI向け画像処理半導体(GPU)市場で8割のシェアを持っている。

●10.電気自動車テスラの4~6月新車販売台数44.4万台と前年同期比▲4.7%減、2期連続(NHK)

 1)販売台数減少傾向が続く背景   ・中国のEV最大手のBYDなどとの競争が激化。   ・アメリカなどでEV需要の伸びが鈍っている。

●11.バイデン氏選挙選を撤退しなければ、トランプ氏に「最高の贈り物」=元伊首相(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)7/1、上海総合+27高、2,994  2)7/2、上海総合+2高、2,997  3)7/3、上海総合▲14安、2,982

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)7/1、日経平均+47円高、39,631円   2)7/2、日経平均+443円高、40,074円   3)7/3、日経平均+506円高、40,580円 

●2.日本株:円安の進行と短期筋の海外勢の買いが勝っているが、反転リスクに注意

 1)7/2~3の日経平均が意外高、トランプ相場を先取りか、持続性は不透明   ・米大統領選挙の6/27テレビ討論会以降で、トランプ氏が優位との見方が広がる。8年前のトランプ氏が大統領選挙勝利から株価高騰した経験がある。   ・ただ、大統領選挙は11月にあり、今から株価上昇を市場参加者が煽るには時期尚早だ。したがって、今日の株高がトランプ氏の勝利を先回りして持ち上げても、株高の持続性は疑問だ。

 2)円安基調は続き、輸入コスト上昇が物価圧力となり、消費は減速(GDPの低下)   ・物価上昇は賃金アップを上回り、実質賃金は25ヵ月連続でマイナスだが、この基調はまだまだ続くと思われる。消費支出は確実にマイナス傾向にあり、内需企業に打撃が迫っている。   ・今は、円安が自動車や機械などの輸出企業の業績アップにつながる。半導体関連銘柄や最高値更新が続く米国株関連銘柄の上昇へと波及している。この点を注視して、株価は追い上げに拍車を掛けている。   ・だが、そのうち生活防衛で消費支出の減速、景気の後退に目が向く可能性がある。

 3)今回の上げ相場は、海外の短期筋の買い仕掛けの可能性が濃厚   ・したがって、上げ相場が反転するリスクを頭に入れておきたい。   ・気になるデータ   ・7/3の日経平均の上昇が突出     日経平均   +1.26%高     TOPIX    +0.54%高     JPX日経400  +0.69%高   ・日経平均はNYダウに比べ「割高」           6/24   7/3      差異       NYダウ  39,411ドル 39,308   ▲ 103ドル安      日経平均  38,804円  40,580   +1,776円高   ・日経平均の上昇は「人気」に頼っており、業績の伸びの裏付けなし     1株当たり純利益(EPS)の推移       6/24   7/3      差異       1,788円 1,791     わずか+3円高

●3.「データセンターの電力不足懸念」、企業で省エネ取り組みが加速(NHK)

 1)生成AIの急速な普及で、その処理を行うデータセンターの建設が相次ぎ、電力不足に懸念が高まっている。

 2)データセンター運営の企業で省エネや地方都市への分散化への取り組みが加速。

●4.貿易赤字を解消するため、原発再稼働を=神田財務官(毎日新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6258 平田機工    半導体関連の受注期待    ・7180 九州FG     業績拡大期待  ・9508 九州電力    半導体・データセンター効果を期待

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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