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クレーン業界の世界の重鎮、外人持ち株比率28.7%:タダノのPBR1倍割れ

財経新聞 2024年7月12日 10時29分

 タダノ(6395)。日本を代表する世界的な企業の1社。建設用クレーン・車両積載型クレーン・高所作業車の製販で世界トップ格。どんな製品群が整備されているかは、HPを覗いて欲しい。高所恐怖症の身としては、写真を見ただけで「ブルッ」と身震いに襲われる。

 タダノが「世界屈指」であることをあらためて痛感させられたのは、4月1日に発信されたニュースリリースだった。『世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT(eGR―25ON)」が大阪市でぶじ初稼動』と題する内容は、竹中工務店に1カ月間貸し出し。大阪市内の建設現場での使用の結果、高い評価を得たというもの(導入実施がその後決定)。

 この機種は日本国内で最も台数が多く、汎用性が高い吊り上げ性能有する走行とクレーン操作が運転席で並行して可能。竹中工務店が着目し導入したのは「電動化」により、CO2排出量をゼロに出来る点に求められる。年内には北米市場への投入が予定されている。

 そんなタダノも2021年3月期はコロナ禍に晒され「41億9600万円の営業損失、129億8700万円の最終赤字」を余儀なくされたが、22年3月期には「52億5100万円の営業利益、130億9600万円の純益」を計上、「4円復配の7円配」。3月期決算から12月期決算に移行。

 22年12月期の変則(9カ月)決算でも「8円配」を実施。23年12月期は一気に「19円配当」へ。そして今12月期は「12.4%の増収(3150億円)、9.0%の営業増益(200億円)、22.2%の最終増益(95億円)、23円配」計画で立ち上がり、開示済みの第1四半期は「営業利益:前年同期比59.5%増益、純益:同137.8%増益」で通過している。

 至2026年12月期の中計では「売上3300億円、営業利益300億円」を掲げ、「配当性向30%目安、期間中の投資額300億円以上、ROE9.5%」としている。中計実現の牽引役としては前記の「EVOLTの世界展開」を主軸に、「脱炭素製品のラインアップの拡充」としている。

 本稿作成中の時価は1200円出入り水準、予想税引き後配当利回り1.55%強。4月12日の1367円(年初来高値)まで買い直された後、5月30日の1058円(同安値)まで調整し出直り基調。昨年末時点で外国人持ち株比率は28.7%。それだけに興味を覚えるのは、時価のPBR。0.82倍。タダノにしても放置できない喫緊の課題といえよう。

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