■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/18、NYダウ▲533ドル安、40,665ドル 2)7/19、NYダウ▲377ドル安、40,287ドル●2.米国株: 米国主要株価指数は、半導体関連株価の大幅下落が波及して反落
1)米国主要株価指数は、半導体関連株価の大幅下落が波及して反落 ・主要株価指数の推移 最高値 7/19株価 下落幅 下落率 NYダウ 7/17 41,198 40,287 ▲911安 ▲ 2.2%安 S&P500種 7/16 5,667 5,505 ▲162安 ▲ 2.8%安 ナスダック総合 7/10 18,647 17,726 ▲921安 ▲ 4.9%安 半導体株(SOX) 7/10 5,904 5,267 ▲637安 ▲10.7%安 日経平均 7/11 42,224 40,063 ▲2,161安 ▲ 5.1%安・半導体株が急落した理由
・生成人工知能(AI)やエヌビディアの急伸を受け、急騰していたため、急落リスクがあった。
・バイデン政権が、対中国の半導体の厳しい規制強化を検討と報じられた。追加規制によって対中国への売上減少が懸念された。
・トランプ氏が、台湾が半導体で儲けているため、防衛費負担をGDPの5%まで引き上げ、負担増を要求する発言をした。
・マイクロソフトの基本OSによるシステム障害で、世界の航空機離着陸やパソコンなどに影響を及ぼした。システム障害の影響からリスク回避をするため、売りが出された。
●3.バイデン大統領は大統領選から撤退を表明し、候補にハリス氏を指名(日テレ)
●4.台湾はGDPの5%を防衛費に=トランプ氏の安全保障顧問オブライエン氏(ロイターより抜粋)
1)中国に対抗するために台湾は防衛費を増額しなければならな。我々は台湾を援助できるし、防衛の一翼を担える。しかし、トランプ氏は「負担の分担をすべきだ」と言っている。台湾はGDPの5%を防衛費に充当し、中国に対して後手に回らないようにしなければならない。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/18、上海総合+14高、2,977 2)7/19、上海総合+5高、2,982●2.英バーバリーの株価急落、中国の高額消費が再び減速懸念(Quick)
1)4~6月期の既存店売上高は前年同期比▲21%減。 2)最高経営責任者(CEO)の交代と、2025年3月期の配当停止も公表。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/18、日経平均▲971円安、40,126円 2)7/19、日経平均▲62円安、40,063円●2.日本株 : 米半導体株と共に下落、買い手不在のため「落ちる剣は握らない」
1)日経平均は、米国の半導体株(SOX)と共に下落 ・日経平均の推移 最高値 7/19株価 下落幅 下落率 日経平均 7/11 42,224 40,063 ▲2,161安 ▲ 5.1%安・日経平均は米国のナスダック総合指数や米国半導体株指数(SOX)と同じ時期にピークを迎え、その後、共に急落している。
・SOX指数が、米国株と日本株を主導して上昇してきただけに、SOXの急落がどこで下げ止まるのか注目したい。
2)日経平均超下落の主役は値がさ半導体関連銘柄 ・7/17~18の半導体関連株価の推移 7/11株価 7/19株価 下落幅 下落率 8035 東京エレクトロン 38,050円 31,170円 ▲ 6,880円安 ▲18.1%安 6146 ディスコ 68,540 52,700 ▲15,840 ▲23.1% 6920 レーザーテック 34,210 29,725 ▲ 4,485 ▲13.1% 6857 アドバンテスト 6,841 6,143 ▲ 698 ▲10.2% 日経平均株価 42,224 40,063 ▲ 2,161 ▲ 5.1%
・日経平均は、6/17に38,102円を底に、7/11に最高値42,224円と+4,112円高・+10.8%上昇した。そして現在は、米国SOX指数の下落と共に急落している。
3)買い主体であった「短期筋の海外投資家」は利益確定売りに転換 ・海外投資家の年初からの買い残高の推移 6月3週(~6/21) + 1,037億円 7月1週(~7/05) +1兆5,771億円 差引の買い越し増 +1兆4,734億円 7/11には今年最高の買越額+2兆0,929億円近辺に到達したものと予想する。
・今回も海外投資家は買い残高が2兆円程度を限度にしてから売り転換したと思われる。
・前回の海外投資家の買い残高ピークは、3月1週の2兆0,929億円であった。
・今回の買い主体は、海外投資家のなかの「短期筋」である。
・7/5現在の買い越し額増の内訳は、 現物株 + 3,077億円 先物 +1兆1,657億円 買い残合計 +1兆4,734億円
・つまり、海外投資家のなかでも「短期筋」の手による買い仕掛けである。短期筋の買い仕掛けが始まってから、日経平均は+4,112 円高・+10.8%も上昇した。短期筋の海外投資家にとって、十分な利益が確保できる水準である。先物の特別清算日は7/12朝一番であり、含み益を実現利益にするために売り転換する最高のタイミングであった。
4)買い手不在 ・6月4週から日経平均は大幅上昇したが、買い手は「短期筋の海外投資家」であった。 ・その短期筋の海外投資家も7/12の先物の特別清算(SQ)が朝一番に決まると、急ハンドルで売り方に転換した。その日から、半導体関連株を中心に日経平均は大きく売られる展開となった。 ・海外投資家の買いに対して「提灯買い」をしてきた証券(自己)も追随買いはわずかだった。売り越し基調を続けてきた年金基金の売りに変化はない。自社株買いの事業会社は3月期決算会社の株主総会後は、買い縮小させている。 ・つまり、「買い筋が不在」の状況になっている。 ・新な買い筋が出現するまで、「待て」の状況にあると思われる。 ・4~6月期決算発表シーズンが間も無く到来する。業績好調な銘柄の出現に期待したい。
5)相場格言「落ちているナイフはつかむな」に注目 ・急落株の株の買い直しは、落ちている最中の剣を素手でつかむようなもの。とても魅力的な銘柄でも剣が床の底に落ちてから、つかむようにしたい。 ・短期筋の海外投資家の行動は、売ると決めたら売り切る意思と実行力が凄い。今回の売り転換も「買った先物残高が解消するまで、売り一色」が続くと想像する。したがって、短期筋の海外投資家の先物が無くなるまで、「日本株は見ない」で見過ごすのが得策と思われる。 ・短期筋の海外投資家に売り物が無くなったら、つまりナイフが床に落ちたのを確認してから投資を手掛けることが良さそうだ。
執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。
現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。
メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。
発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou