北海道大学は18日、北海道中頓別町にある白亜紀末(約7000万年前)の地層から、新種のスギ科・コウヨウザン属の植物の化石を発見し、ナカトンベツコウヨウザンと命名したと発表した。
このナカトンベツコウヨウザンは、白亜紀末の大量絶滅を生き抜き現生のコウヨウザン属の祖先になったが、これまでにしられているコウヨウザン属にはみられない特徴があるという。すなわちこれまでにしられているコウヨウザン属に比べて、松ぼっくりの鱗片が厚いという。
研究グループではこのような特徴によって、ナカトンベツコウヨウザンが白亜紀末の大量絶滅を生き延びた可能性があるとしている。
■植物も大量絶滅した白亜紀末の大量絶滅
今から6600万年前、直径約10kmの小惑星がメキシコ・ユカタン半島沖に衝突し、恐竜が絶滅したというのは有名な話だ。しかしこのとき、絶滅したのは、恐竜だけではなかった。植物を含む生物の約76%が絶滅している。
そして今回発見されたナカトンベツコウヨウザンなどコウヨウザン属の祖先が、なぜこのような大絶滅を生き残ることができたのかは、よくわかっていなかった。
■白亜紀末の大絶滅を生き残るのに役立った特徴とは?
研究グループは、北海道中頓別町で地質調査をおこなっている際に、アンモナイトや二枚貝の化石などと共に松ぼっくりの化石を発見した。この松ぼっくりの化石は、石灰質の岩石の中で保存されており、細胞組織をよく観察することができたという。
そして観察の結果、この松ぼっくりはコウヨウザン属に属する新種のものと判明。さらに、これまでにしられているコウヨウザンにみられない特徴があることもわかった。すなわち、これまでにしられているコウヨウザンよりも、鱗片の先端が厚くなっていたのだ。
松ぼっくりには種子を保護する機能があるが、松ぼっくりを形づくっている鱗片が厚くなると種子を保護する機能が高まる。たとえば、山火事が頻発する地域では山火事から種子を保護するために松ぼっくりの鱗片が厚くなることがしられている。
研究グループは、このようなナカトンベツコウヨウザンの特徴が、小惑星の衝突によって生じた山火事など環境の激変を生き延びるのに役立った可能性があるとしている。
研究グループでは今後、さらに多くの松ぼっくりの化石を調査し、現生種などとの系統関係を明らかにしていくなど研究を進め、この仮説を検証していきたいとしている。