■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/19、NYダウ+522ドル高、42,025ドル 2)9/20、NYダウ+38ドル高、42,063ドル●2.米国株:FRBの2年余で▲2.5%利下げ決定と見通しは、政治的思惑か?
1)米国FRBは、政策金利を今年9月以降の2年余で▲2.5%もの利下げ見通しを公表 ・▲2.5%の利下げ見通しのスケジュール ・2024年9月 ▲0.5%利下げ決定 ・2024年末までに さらに追加で年末までに▲0.5%利下げ見通し ・2025年 ▲1.0%利下げ見通し ・2026年 ▲0.5%利下げ見通し 合計 2年余で合計▲2.5%もの利下げ見通し ・今回のFRBによる利下げ決定は、11月の米国大統領選挙前の最後の会合となる。2)果たして、現時点で合計▲2.5%もの利下げ予定を公表する意味はあるのか? ・FRBの経済認識(公表数値) ・2024年の経済成長見通しは+2.0%増と、前6月時点の+2.1%増からは下方修正された。 ・インフレ指標であるコア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは、2024年が+2.3%増、2025年が+2.1%増 ・失業率は、2024年・2025年ともに4.4%となった。
(1)米国経済の見通しは、想定以上に悪化している可能性。 ・経済の先行指数では、特に労働環境が著しく悪化するリスクがあり、顕在化する前に超大幅利下げの予防措置を講じる必要性をFRBが持った可能性がある。 ・公表された経済指数は、ソフトランディング(軟着陸)を目指している。FRBが公表しない隠れた・先行指数の動向指数が気になる。
(2)大統領選挙前に政治的意味合いを含めた金利引下げの可能性。
3)11月の米国大統領選挙前の政治的動機から超大幅金利引下げ見通し発言 ・しかも、年内にさらに▲0.50%引下げを予定していると、FRB議長発言あり。FRBはデータに基づき慎重な意思決定を行ってきた。そのため、金融政策変更のタイミングは遅れ勝ちが常であった。FRBの鈍重な金融政策変更と、腹を見せないやり方を180度変更したのは何故?
・そこにパウエルFRB議長の「政治的思惑」が見え隠れする。
・パウエルFRB議長は共和党員であるが、トランプ氏が選挙に勝って大統領に再選されることは最悪のシナリオだろう。トランプ氏は共和党員で、大統領就任後に1期目の任期を迎えたイエレンFRB議長は民主党員のため再任せずに、共和党員のパウエル氏を昇格し任命した。ところが、パウエル氏はトランプ氏の意向に忠実でなかった。そのため、トランプ氏は再任しない旨の意見を以前から表明していた。しかしその後、民主党のバイデン氏が大統領選挙に勝ち、パウエル氏の再任を決めた。
・以上のような事項もあり、パウエルFRB議長は民主党員の大統領が継続することを期待しているため公表したのではないか。
・ただ、2年余で合計▲2.5%もの金利引下げの公表は、「極めて強いシグナル」である。今後、物議を醸し出す、長期の金利引下げ見通しだったと言える。
●3.大幅利下げに異議、インフレ目標は依然と未達=ボウマンFRB理事(ロイター)
●4.ウォラーFRB理事、年内▲0.25%利下げを想定、必要なら大幅利下げも(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/19、上海総合+18高、2,736 2)9/20、上海総合+0.79高、2,736■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/19、日経平均+775円高、37,155円 2)9/20、日経平均+568円高、37,723円●2.日本株:円安で株高基調にあるが、日米選挙を前に「様子見」が強くなる模様
1)円高が一服し、反動で「円安」局面にある⇒日経平均は上昇 ・海外短期筋の思惑的な「円売り⇒日本株上昇」が続いている。 ・9/19は一時2円以上の円安・ドル高⇒日経平均+775 円高。 9/20は1ドル=142.12円と円安が進行⇒日経平均+568円高。2)テクニカル指標では、日経平均は上値が重くなる方向を示唆し気懸りが増す ・9/20の移動平均線はプラスとなった。 25日移動平均線から+0.74%高と上回る。 200日移動平均線から+0.27%高と上回る。 ・6日騰落レシオは9/20、207.8と高水準になった。 ・ストキャスティクスのFASTは9/20、82と高い水準に上昇した。
3)今後の日経平均は上昇も、米国・日本の政局で高値追いは限定的か ・円相場は9/20日本⇒米国で1.79円と円安が進行。 円安急伸を受け、9/24の日経平均は上昇を予想。 ・日経平均は個別銘柄でみると、4~7月に天井を付け、その後、大きく下落している。最近の戻りを映して値戻りしているが、中長期的には下落傾向のなかの戻りとなっているもよう。 ・ただ、米国大統領選挙や自民党総裁選挙を前に「様子見姿勢」が強くなる場合が予想される。このため、慎重さも大事となろう。
4)日米金利差は縮小 ⇒ 円高基調は変わらない模様 ・米FOMC政先金利の見通し 2024年6月 5.125% 5.00~5.25 2024年9月 4.75~5.00 2024年末 4.375% 4.25~4.50 2025年末 3.375% ・植田・日銀総裁の意向は「金融緩和の変更」にあり、金利引上げを模索すると思われる。 ・したがって、日米金利差は縮小し、円相場は「円高」基調にある。
●3.8月消費者物価(値動きの大きい生鮮食品除く)+2.8%上昇、コメ49年ぶり大幅上昇(テレ朝)
1)36ヵ月連続の上昇で、上昇幅も5月から4ヵ月連続で拡大している。2)コシヒカリを除くコメは、前年同月比+29.9%上昇し、比較可能な1976年以来で最大の上昇幅となった。コシヒカリも+25.6%上昇。コメ類全体としても49年ぶりの大幅な上昇幅となった。チョコレートも原材料価格の上昇によって+12.7%上昇した。
●4.秋も食料品の値上げ相次ぐ、コメにチョコなどさらに2,000品目が(NHK)
●5.日銀は利上げ視野も、植田総裁は「米国経済の先行きなど慎重に見極め」(NHK)
●6.日銀・植田総裁「日本経済は見通し通り動いている」追加利上げへ自信示す(朝日新聞)
1)日本銀行は9/20、金融政策を維持して、政策金利を0.25%程度に据え置いた。 2)日銀は政策金利を+0.15%の追加利上げを決めたが、8/5に日経平均株価が過去最大の下落幅を記録した。日銀幹部は、金融市場が不安定な状況で追加利上げはしないとの考えを表明していた。●7.農林中金の債券含み損▲2兆円超、農水省が原因を検証へ(NHK)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2413 エムスリー 業績堅調。 ・4063 信越化学 業績堅調。 ・7780 メニコン 業績堅調。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。
現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。
メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。
発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou