藤田観光(9722、東証プライム)に「漸くホップ・ステップのタイミングが戻ってきたかな」という感を覚えたのは、昨年12月21日の「(2023年12月期の)通期予想の修正」というリリースに接した時だった。期初計画の「売上高620億円を643億円(22年12月比46.97%増)」とし、「営業利益は63億円(40億4800万円営業損失)、純益70億円(57億8900万円赤字)」に上方修正。
「コロナ禍が第5類に見直されたこと、伴い国内の人流/インバウンドの急回復傾向」がその要因として捉えられていた。
がこの時は、「今24年12月期動向をとくとお手並み拝見」とその足元を覗き込むのはやめた。とにかく全国に500近いホテル・ビジネスホテルを展開している。全てが全て「着実な回復基調」と行くのかどうかに一抹の不安があったからだ。
やはりウォッチしなくては、と思い直されたのは8月25日(日)の東京新聞の自前記事だった。『「東京雲海」実現・・・挑戦はこれからも 椿山荘やホテル小涌園運営の藤田観光・山下信典社長 業績急回復に手応え』とする見出しの記事で、3月に新社長に就任した山下氏が「2028年までの5カ年計画の収益拡大フェーズを前倒ししたい」と力を込めているという内容。
確かにここにきての施策をみると「大阪太閤園売却(財務体質強化)」「椿山荘のブランド力強化(庭園を霧で覆う演出:東京雲海/内外で受賞)」「箱根小涌園の開業」等々、積極姿勢を示している。
そして結果的に前記の「上方修正」に続き今期も「通期予想」を2度修正。「16.2%の増収(750億円)、65.7%の営業増益(110億円)」。第2四半期の実績は「前年同期比23%の増収(358億8200万円)、167.9%の営業増益(51億2300万円)、30.3%の最終増益(40億400万円)、復元増配30円配」と順調。
前記の山下社長の「28年12月期までの5カ年計画(売上高800億円/23年12月期比24%増、営業利益80億円/21%余増)の拡大フェーズを前倒ししたい」を、「大風呂敷」などとは言えない状況(勢い)にある。
株価は正直だ。本稿作成中の時価は900円台前半。3月5日の年初来安値5640円から収益の上方修正が相次ぐ中で、6月26日1070円まで買われ高値ゾーンで推移。そんな現状にIFIS目標平均株価9195円と慎重姿勢。が過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは約2.66倍。とりあえずは再三再四の収益上方修正を期待し、押し目買い姿勢で臨むのが賢明か・・・