●自民党総裁選で石破茂氏が選出
9月27日に自民党総裁選が行われ、決選投票で石破茂氏が高市早苗氏を破り、第28代総裁に選出された。10月1日に臨時国会が召集され、石破新首相が誕生する。石破氏が総裁に選出された瞬間、1ドル=146円だったドル円が142円台まで急落し、日経先物も現物終値で2000円以上も下落した。
石破氏が勝利する決選投票前の第1回投票では、金融緩和の継続を主張する高市氏が優勢だっため円安が進み、株価も800円超上昇して取引を終えていた。だが週明けの日経平均は、1900円超安の急落となった。
SNSでは“日本終了”や“石破ショック”という悲観的な意見が圧倒しているが、日本株にとって相場の転換点となるのだろうか?
●なぜ嫌われる?原因は総裁選前の石破氏の主張
高市氏は総裁選立候補を表明してから、戦略的な財政出動と金融緩和の継続を明言していた。日銀の金融政策についても「金利を今、上げるのはアホやと思う」と発言するなど、早期利上げにも否定的だった。石破氏は高市氏と対照的に、財政健全化に向けた緊縮財政と金融正常化を主張してきた。
「金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と発言するなど、早期利上げすると見られている。
金融所得課税強化を主張しており、岸田首相が進めてきた新NISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などにも課税し、「貯蓄から投資」への流れに逆行すると警戒されてきた。
●真価が問われるのはこれから
総裁選明けの30日の日経平均は大幅下落となったが、一方で利上げへの期待がある銀行株や、防災省の創設や地方創生を主張していることから防災関連やDX関連の株は一部上昇した。総裁選出後のテレビ出演などで、「NISAやiDeCoへの課税強化は毛頭考えていない」と発言するなど、貯蓄から投資への流れを止めないと明言している。
金融緩和についても緩和基調を変えない、財政出動も視野に入れている趣旨の発言もしており、利上げについても日銀が決めることとしている。
そもそも選出時点で過剰反応するのは時期尚早との声もあり、石破政権が誕生するまでどのような政策になるかは、まだまだ未知である。
岸田政権誕生の際もマーケットに不人気だったが、結果的に日経平均は過去最高値を記録するなど、当初の予想とは真逆の結果となった。
今回の下落は高市氏への緩和期待で上がり過ぎていた面もあり、その調整とも言える。近々解散総選挙も予想され、上昇相場へと変わることも十分にありえるだろう。