NSD(9759、東証プライム)。独立系SI(システムインテグレーター:業務システムや基幹システムを構築)大手。金融・社会インフラ系で定評。
NSDを初めて着目したのは、5月初旬だった。前2024年3月期の配当を「3円増配70円配」から「5円増配72円配」に増額修正した。その折に配当の推移をチェックした。21年3月期の42円配がその後の連続増配で72円配に化けて?いた。ちなみに今期も「2円増配74円配」で立ち上がっている。
株主還元の仕様に変化が顕著になりつつある。改めるまでもないだろうが「配当性向(1株当たり配当額÷1株当たり純益)」がこれまで主役だった。「配当性向30%以上を視野」と言った具合に、だ。
がここにきて自社株買いという株主還元策が幅を利かせるようになり、クローズアップされてきたのが「総還元性向(<配当支払い総額+自社株買い総額>÷純益)」である。NSDも「配当性向50%以上/総還元性向70%以上」の2本柱に掲げている。
そして株主還元策に踏み込んでみたところ、こんな株主優待策の枠組みを知った。「400株~1000株未満の1年未満保有すると1000円相当/1年以上で1500円相当/3年以上で2000円相当のQOカードを提供」。がことは、この限りにとどまらない。対象株主には「寄付する」権利?が付随する。前期では「寄付する」という申込口数は、約2200口。寄付先は「認定NPO法人 全国子ども食堂支援センター:こむすび」。
言い換えれば、収益動向の好調さ(連続最高益更新中)がこうした株主還元策を実現していると言える。21年3月期から今期計画を含む5期間の営業増益率・最終増益率はこんな按配。「3.1%増/0.3%増、16.0%増/22.8%増、9.7%増/30.6%増、21.2%増/0.4%増、4.1%増/1.3%増」。至2026年3月期の中計は上方修正したが「売上高1000億円、営業利益150億円、純益102億円」。今期計画が予定通り実現されれば、またも「1期前し達成」となる。
外国人投資家の保有比率が29.9%というNSDの株価と、どう付き合うか。本稿作成中の時価は3000円台入り口(年初来高値:3355円のゾーン内)。予想税引き後配当利回り1.9%弱。過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは4倍強。が、算出者2名のアナリストは「やや強気」「中立」でIFIS目標平均株価3100円。好配当利回りを享受しながら様子見が賢明か・・・