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相場展望10月10日号 米国株: 小麦・原油価格の上昇で、インフレの芽が膨らみ、金利上昇? 中国株:株式相場の爆上げ要因は、「官製バブル」と「売り方の買い戻し」 日本株: バフェット氏の起債資金に注目、円安進行で株高

財経新聞 2024年10月10日 13時37分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/7、NYダウ▲398ドル安、41,954ドル  2)10/8、NYダウ+126ドル高、42,080ドル  3)10/9、NYダウ+431ドル高、42,512ドル

●2.米国株 : 小麦・原油価格の上昇で、インフレの芽が膨らみ、金利上昇のリスク

 1)小麦、原油価格の高騰が、食料品・エネルギー価格上昇し、インフレ加速の芽   ・小麦価格の推移   8/1     9/11   10/9              532ドル    579    599    原油価格の推移   9/11    10/7    10/9              67.31ドル  77.14    73.2   ・価格上昇の要因     小麦   世界最大の小麦輸出国のロシアが、天候不順・ウクライナ戦争の影響を受け減産。     原油   中東情勢の悪化で価格上昇も、混乱が短期的に収束見通しはなく、長期化する可能性。

 2)VIX恐怖指数が上昇傾向   ・VIX恐怖指数の推移   10/1    10/7   10/9               19.26    22.64   20.86     NYダウ終値    42,156ドル  41,950   42,512   ・10/9のNYダウは42,512ドルと、10/1よりも高いのに、VIX恐怖指数が上昇している。これは、最高値にあるNYダウの先行き不安が高まっていることを示唆している。

 3)FRBは利下げした9/18以降、長期金利は上昇しているのは何故?   ・米国10年債金利の推移    9/18    10/9                  3.704%   4.022   ・FRBは政策金利を引続き引下げる方向にあり、長期金利は低下すべき。しかし、逆方向の金利上昇に転じたのか?   ・米国債券市場に資金が流入し、債券が買われ、債券価格が上昇しているため長期金利が上昇している。   ・米国経済の予想以上の強さや食料・原油価格の上昇を受け、インフレ再加速を織り込み始めた可能性がありそうだ。   ・そうなれば、米国株相場にとってマイナスとなる。

●3.米国ボストン連銀総裁、更なる利下げが必要、物価2%の確信増す(Quick Money)

●4.米国バークシャー、BofA株を追加売却、7月以降で売却総額100億ドル超に(ロイター)

 1)保有比率は、7月時点で13.1%⇒今回の売却で10.1%に低下した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/7、祝日「国慶節」で休場  2)10/8、上海総合+153高、3,469  3)10/9、上海総合▲230安、3,258

●2.中国株:上海株式相場の爆上げは、「官製バブル」と「売り方の買い戻し」

 1)上海総合指数は政府系資金を基にした「官製バブル」で爆上げ   ・上海総合指数の推移         9/13       2,704        10/8  3,489       :9/13比+785上昇、+29.0%上昇      10/9   3,258      :9/8比▲230下落、上昇幅の▲29.3%失う   ・爆上げの要因(9/13⇒10/8)     ・政府系ファンドが約16兆円もの注入された資金を得て、一斉に株買い        ・中国人民銀行による政府系ファンドに8,000億人民元(約16.5兆円)の資金供給を原資にして一斉に株買いを行いインパクトを与えた。        ・日本市場では2024年年初から7月2週までの日経平均は爆上げしたが、株高を牽引した海外投資家の累積買い額は+2兆5,500億円だった。それを考慮すると、中国人民銀行による政府系ファンドへの資金注入額の膨大さがわかる。     ・空売り筋の急激な買い戻し。        ・空売り筋は上海総合の株価急騰で評価損▲69億ドルを出したため、損切をするとともに株を一気呵成に買い直した結果、急騰した。     ・「官製バブル」と「空売り筋の急激な買い戻し」が上海総合指数が爆上げしたとみる。それだけに、メッキが剥がれると、反落も大きくなる可能性がある。反落の大きさは、中国政府による景気刺激策の本気度程度に掛かっている。

 2)中国経済成長の鈍化、個人消費の低迷により、中国市場は値下げ競争が激化し、デフレ深刻化、企業業績が悪化、不況が長引くことが懸念   ・中国の消費者が、現地の激安商品を選ぶ傾向が強まる      朝食3元(60円)店が大繁盛      マクドナルドなども低価格商品を提供   ・中国から撤退・工場閉鎖・事業縮小する日本企業が増加      伊勢丹、ホンダ、モスバーガーなど      資生堂は人気ブランドの販売終了   ・中国景気の回復には、デフレの収束にかかっている。      デフレ退治ができない限り、中国経済の成長は望めず、「失われた30年」の日本化に向かうだろう。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/7、日経平均+697円高、39,332円  2)10/8、日経平均▲395円安、38,937円  3)10/9、日経平均+340円高、39,277円

●2.日本株:バフェット氏の起債資金に注目、円安進行で株高

 1)バフェット氏率いるバ―クシャー、円債を起債、日本株の追加投資期待高まる   ・日本株の銀行、保険などの業種の株価動向に注目したい。

 2)円相場は、円安が進行し、日経平均には追い風   ・円相場       10/8    10/9      日本時間    147.96円  148.60      米国時間    148.24   149.22   ・日米10年金利差   3.088%   3.133   ・日米金利差が拡大し、円安・ドル高が進展している。

 3)選挙は通常「株高」であるが、今回の衆院総選挙は注意深くみたい   ・石破・新政権に対する高揚感はない。世論調査の支持率も高いとはいえず、総裁選での主張も引っ込めるなど、政治の刷新についてもモタモタ感が強い。   ・短命内閣とささやかれるなか、政治基盤も小さく政策推進力が試される。   ・これでは、総選挙が株高要因となりにくい。

●3.大手牛丼チェーン、客つなぎとめのため価格引下げの動き相次ぐ(NHK)

●4.イオン、8月中間決算で最終利益は54億円、前年同期比▲76.5%減(NHK)

 1)賃上げによる人件費が+280億円増、値下げなどが要因。

●5.JT、米国たばこ大手ベクターの買収完了、3,780億円で完全子会社(時事通信)               

●6.任天堂、サウジ政府系ファンドが市場内で処分、保有比率7.54%に(ブルームバーグ)

●7.Jフロント、3~8月期は営業・純利益が倍増、富裕層消費など好調(ロイター)

 1)営業利益は前年の2倍の+393億円、純利益は2.2倍の+290億円。

●8.ジェイテクト、インドの新工場建設に35億円投資(中部経済新聞)

■IV.注目株式(投資は自己責任でお願いします)

 ・4568 第一三共    業績堅調  ・8316 三井住友FG   業績堅調  ・8630 SOMPO    業績堅調

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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