●中国が景気刺激策を表明
中国当局は9月24日、追加の金融緩和策を相次いで発表し、不動産や株式市場の支援策も打ち出した。9月26日に開催された中央政治局会議でも、厳しい経済情勢について議論され、国の指導部が先行きを懸念していることを表明した。
金融緩和策への期待から上海総合指数や香港ハンセン指数などの中国関連指数だけでなく、日米ともに中国関連の株が幅広く買われた。
コロナ禍からの経済回復の遅れや、中国恒大に端を発した不動産不況に出口が見えない中、中国の景気刺激策に国内だけでなく、世界中からの期待が高まっている。
●緩和策の内容と追加系策への期待も
短期金利の7日物金利と14日物金利をそれぞれ0.2%、0.1%引き下げ、予定準備率は0.5%引き下げ、企業向け優遇貸出金利も引き下げるなど、金融市場へ直接働きかける緩和が柱である。不動産市場支援策では、既存の住宅ローン金利を0.5%引き下げ、2軒目の住宅購入時の頭金比率を25%から15%に引き下げ、売れ残り住宅取得の際に、中国人民銀行が支援を拡大する。
株式市場対策も盛り込まれており、機関投資家による株式投資や企業の自社株買い資金の調達を支援し、企業のM&Aを推進する政策も近々発表される。
さらに10月8日には超長期国債の発行を来年も続けるとともに、2025年予算から戦略的重要分野へ投資する1000億元(約2兆1000億円)も前倒しすると発表した。
しかし、さらなる景気刺激策の発表は見送られ、投資家からは失望を招いた。
●持続性に疑問の声も
中国当局からすると、経済成長5%前後の達成がこのままだと苦しいという焦りがある。長年中国の経済は不動産に支えられていたが、22年から不動産販売の減速傾向が続いている。これまでも刺激策を講じてきたが、改善に転じるまでには至っていない。
住宅不況は他の企業にも影響を及ぼしており、雇用や所得の冷え込みにも繋がっている。
今回の経済対策は金融緩和に留まっており、株価の押し上げや個人消費の刺激策にはなるという期待感がある一方、持続性は疑問視する声も多い。
中国当局は、経済目標の達成に自信があると追加景気刺激策を見送ったが、債務問題が背景にあるという見方もある。
経済対策への本気度が試されることになるだろう。