系外惑星は現在5000個以上発見されているが、その姿を直接捉えることは不可能だ。系外惑星よりもさらに小さい系外衛星(エクソムーン)を直接捉えることは、それ以上に難しい。
だが2020年時点でケプラー宇宙望遠鏡などによる観測データから、複数の系外衛星の存在が示唆されている。ケプラー宇宙望遠鏡はNASAによって2009年に打ち上げられた、地球サイズの系外惑星探索に特化した探査機で、2018年の運用終了までに2662個の系外惑星発見の実績を残した。
NASAは10日、地球から約635光年離れたガス惑星が、火山を持つ衛星を伴っている可能性があることを明らかにした。この系外惑星は土星サイズのWASP-49bと名付けられた存在で、2012年に発見され、2017年にナトリウムの雲が存在していることが確認された。2019年にはハッブル宇宙望遠鏡による追加観測が実施され、マグネシウムや鉄を含む他の鉱物を検出している。
系外惑星WASP-49bは、水素とヘリウムが大部分を占め、微量のナトリウムも存在している。だがこれまでの観測で検出された、多量のナトリウムおよびマグネシウムや鉄系鉱物の起源を説明できない。これらの物質の起源は、火山を持つ木星の衛星イオのような存在が周回していると仮定すれば、説明がつく。このためNASAはそれを裏付けるための観測を実施したのだ。
NASAによれば、WASP-49b付近のガス雲の分析で、毎秒100トンのナトリウムを発生させている供給源が、この系外惑星の近くに存在しているとの結論に達した。しかもこの系外惑星の移動速度よりも、ガス雲は速く移動しているという。
WASP-49bは主星の周りを8日周期で公転しているが、観測されたガス雲の動きにも周期性があり、このガス雲の運動は8時間周期で公転する衛星の存在を仮定すれば説明がつくことを、コンピューターシミュレーションによって突き止めた。
NASAはさらに追加観測による裏付けが必要との見解だが、系外惑星サイズや系外衛星の公転周期から、潮汐効果で火山活動を誘発するのに十分な地熱が発生しうることも説明がつき、系外衛星の存在はほぼ確実ではなかろうか。