●コーヒー豆が13年ぶりに高値更新
ロイター通信によると、コーヒー豆の国際価格が9月26日に13年ぶりの高値を更新した。7月にはNY先物ではカカオ豆が12年ぶりの高値をつけるなど、高騰が続いている。コーヒー豆の原産地であるブラジルなどの南米や、カカオ豆の産地であるガーナやコートジボアールなどの西アフリカで、共に高温や干ばつなどの天候不順や政情不安が影響していると見られている。
これらは“ビーン(豆)ショック”と言われている。チョコレートやコーヒーの値上げが相次ぎ、9月の1000品目を超える値上げにも大きく貢献してしまった。
物価高騰が終わりの見えない中、さらなるリスクとなるだろうか?
●値上げの原因は?
カカオ豆の生産はコートジボワールとガーナの西アフリカ勢が1、2位で、3位がインドネシアである。西アフリカの2カ国で半数以上を占める。日本は約80%をガーナから輸入している。コーヒー豆の生産量はブラジルとベトナムが1、2位で約40%のシェアを占める。
コートジボワールとガーナでは近年干ばつだけでなく、2023年前半から大雨や洪水の被害を受けており、害虫の影響も出ている。
他の西アフリカ諸国では、テロの頻発、クーデター発生などの政情不安で、流通ルートにも支障が出ている。
●さらなる不安も?
消費は衰えることなく、供給面が追い付かなくなってきているのが現状である。米国先物取引所の備蓄在庫も前年比5割~7割減となっている。
他にもガーナでは違法な金採掘業者が横行しており、カカオの木を違法に伐採し、農園が有毒化学物質で汚染されるなどの被害が出ている。
コーヒー豆も天候不順の影響に加え、肥料や農薬、人件費などのコストの上昇、日本にとっては円安が価格高騰の要因となっている。
カカオ豆もコーヒー豆も他の国での新規参入で供給を賄おうと試みるが、最低でも数年はかかるとみられる。
原油や金など思惑で先物価格が上昇するが、供給不安が和らぐようなニュースが出ると一気に価格が下落する可能性あり、投資には注意が必要である。