■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/17、NYダウ+161ドル高、43,239ドル 2)10/18、NYダウ+36ドル高、43,275ドル●2.米国株:米国大統領選挙日の11/5までは堅調な米国株式相場が続くと予想
1)米国経済は底堅い ・小売売上高9月、予想を上回る伸びで消費の堅調さを示す。 ・新規失業保険申請件数が予想外に減少。 ・住宅建設業者の業況感は4ヵ月ぶりの高水準、新築需要の来年見通しは楽観。 ・鉱工業生産9月は▲0.3%低下、ボーイングのストとハリケーンが響く。2)好調な7~9月期決算発表で主役が日替わりで表れ、NYダウは最高値更新続く 日替わり牽引役 ⇒ NYダウ ・10/17、トラベラーズが+9%高 ⇒ +161ドル高 43,239ドル ・10/18、ネットフリックスの株価が+11.1%高⇒ + 36ドル高 43,275ドル
3)米国大統領選挙日の11/5までは堅調な米国株式相場が続くと予想 ・7~9月期の決算発表で好調な企業利益が予想される。 ・米国経済がソフトランディング(軟着陸)できるようにFRBは金融政策誘導。 ・FRBは、インフレ退治策⇒米国経済重視へと政策重点を移している。 ・したがって、11/6~7のFOMC会合で▲0.25%金利引下げと予想。 加えて、12/17~18の会合でも▲0.25%金利引下げを匂わすと予想。 ・経験則の「選挙は買い」という格言が今回も働きそうだ。
●3.台湾TSMC、売上・最終利益ともに過去最高、AI向け需要が拡大(NHK)
1)7~9月期決算は前年同期比、売上高+39%増の3兆5,000億円、最終利益は+54.2%増の1兆5,000億円余りと過去最高。AI向け最先端半導体の需要拡大と、スマートフォン向け半導体の販売好調。●4.米国9月小売売上高は前月比+0.4%増加、消費の堅調さ維持(NHK)
1)10/4発表の雇用統計も労働市場の底堅さを示す内容で、市場ではFRB(連邦準備制度理事会)が利下げを急がないのではないかという見方が広がっている。●5.米国新規失業保険申請件数は前週比▲1.9万件減の24.1万件、予想25.9万件(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/17、上海総合▲33安、3,169 2)10/18、上海総合+92高、3,261●2.中国7~9月期のGDP伸び率は前年同期比+4.6%増、景気減速傾向か(NHK)
●3.中国、不動産融資を84兆円に拡充、テコ入れ「期待外れ」の声(時事通信)
1)中国の倪虹・住宅都市農村建設相は10/17、北京市内で記者会見し、未完成の不動産事業に対する融資の規模を年末までに4兆元(約84兆円)へ拡充する方針を示した。2)政府によると、これまでの融資額は2兆2,300億元となっている。
3)低迷する不動産市場のテコ入れを図る狙いだが、市場では「期待外れ」との失望感が広がり、10/17の中国株式相場は下落した。
●4.中国、山東省で巨大「石油化学コンビナート」が稼働、石油精製能力2,000万トン、供給過剰に拍車も(東洋経済)
1)政府系シンクタンクの石油化学工業規画院は9/24、石油精製プラントの稼働率が低下し、中国全体で80%を割り込んでいる、とした。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/17、日経平均▲269円安、38,911円 2)10/18、日経平均+70円高、38,981円●2.日本株:「選挙は株高」という経験則は、今回は有効か?
1)「選挙は株高」という経験則は、今回は有効か? ・解散宣言から投開票日の10/27までは、日経平均は高圏で推移すると予想する。 ・ただ、最近の日経平均の値動きをみると、荒っぽさが目立つようになってきた。 ・過去の選挙を俯瞰すると、 ・与党が勝つ・圧倒した場合は、株価は上昇している。 ・短命政権とみられると、株価は不安定となっている。 ・海外投資家は「政治の安定化」を望むため、「不安定化」を嫌い売り攻勢を仕掛ける可能性が高い。 ・今回の石破首相が仕掛けた衆院総選挙は、「与党の過半数」が勝敗の分れ目となっている。自民党にとって逆風が吹いているが、野党の混戦のおかげで「与党が過半数」を得る可能性がある。今まで無党派層の支持を受け議席増してきた維新は、党首が「第2自民党でよい」発言をするなど、支持離れで逆風が吹いている。2)海外投資家は年初から「買越し」であったが、7月3週から「売越し」継続 ・海外投資家の取引残高に異変 ・年初から7月2週(~7/12)までは、+2兆5,550億円の「買越し残高」。10月1週(~10/4)には、▲5兆6,190億円と「売越し残高」に転じた。 ・ただ、海外投資家の膨大な「売越し残高」は、次の「買い」エネルギーに転換する可能性を秘めている。そうなれば、日経平均は史上最高値を更新する可能性が増す。 ・ただ、円相場が「円高」に転換すれば、その可能性は低くなる。 ・また、日本の政治が混迷が続き、石破政権が短命化するとみると、海外投資家のスタンスは「売り継続」となるだろう。
3)国民から「自民党の改革期待が高かった」石破首相への期待値の変化が勝負 ・自民党総裁選時の発言と、その後の変節に焦点が当たる。 ・金融所得課税の強化 ・法人税増税 ・アジアのNATO版創設 ・日米地位協定の改定 総裁選任時以降は、上記4項目については封印した。 ・加えて、日本経済再生の道筋は示しているとは言い難い政策となっている。 ・これでは、国民の高い期待値を持続できるか、不透明感が増している。 ・石破首相の夜叉の面のような「眼の鋭さ、顔の怖さ」も、国民の支持を広げられるか不安材料がある。国民に安心感・親近感を与え包み込むという点で、課題を抱えている。
4)長期目線でみると「円高」 ・日米金利差は縮小し、「円高」方向にある。 ・米国FRBは、金利低下政策。 ・日銀はインフレ抑制を理由に、金利引上げに転換継続。 ・円相場は160円超えで140円台まで円高、今は揺り戻しで150円近くまで円安。 ・しかし、チャート的にみると、150円超で目標達成感が出て、再び円高に向かうと予想する。
5)日本株は、タイムラグを置いて、「円高」を受入れ新しい相場展開を予想 ・円高効果で、輸入物価が低下し、インフレが収まっていく。 ・円安享受した輸出企業から、内需企業の業績好転が目立つようになるとみる。 ・「円高」定着で、日経平均の牽引役が変わる節目が到来すると予想する。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2782 セリア 好業績。 ・3038 神戸物産 好業績。 ・3349 コスモス薬品 好業績。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。
現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。
メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。
発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou