葬儀・仏壇・墓のポータルサイトを運営する鎌倉新書(6184、東証プライム)から、興味深い調査レポートが届いた。
『樹木葬の消費者全国実態調査(2024年) 873人の購入者のうち653人、約75%が「継承の課題」を理由に樹木葬を選択』と題するレポート。]
鎌倉新書では、こう結んでいる。「今回初めて、樹木葬に特化した調査結果を発表した。これまでの調査では、樹木葬の購入者数が2020年に一般墓を上回り、23年には過半数を超えるという大きな変化が起きていた。こうした変化は当時から社会構造の変化が影響していると予想されていたが、今回の調査では購入理由の第1位が「継承の課題」であることから、少子化や一人暮らしといった社会背景がさらに強く影響していることが、浮き彫りになった」。
今年は弟・父親の死去で生まれ故郷の墓に、納骨のために出向いた。「千葉家之墓」と彫刻された、墓石型の従来型の墓である。納棺スペースを空けるため墓石屋と話をする機会があった。
墓石屋の親父さんも「俺たちの商売も曲がり角だよ」と声を落とし、「樹木葬が多くなっている。独り身で家族はいないから、いまある墓は墓じまいをして犬と一緒に入れる墓を探している。費用を抑えたシンプルな墓がいいという人が増えている。切実な実感だよ」とした。
周知のとおり樹木葬とは、1948年に制定された「墓地、埋葬等に関する法律」による認可を得た墓地(霊園)に遺骨を埋葬し、墓標は遺骨周辺の樹木を使って故人を弔う方法だ。
鎌倉新書の調査によると、有効回答のうち樹木葬を選んだ理由は、「子どもや後継者に負担をかけたくない(継承の対応)+継承者がいない(同)/74.8%」「費用/7.7%」「自然に回帰したい/5.2%」「ペットと一緒に入ることができる/4.4%」「他/8.0%」。
樹木葬の費用は「里山タイプ/公園タイプ/庭園タイプ」という種類別など状況によって異なるが平均「62万9000円/60万5000円/64万1000円」。樹木葬全体の平均金額63.7万円。いずれにしても、それなりの貯えがなくては樹木葬も決して容易ではないようだ。