●7‐9月期は5年ぶりに営業利益が黒字に転換
楽天グループ(楽天G)は13日、2024年度第3四半期の業績を発表し、営業利益が前年同期の544億円の赤字が、5億円の黒字へと転換した。営業利益が黒字となるのは、2019年第3四半期以来となり、楽天モバイル(MNO)での本格的な設備投資を始めてからは初の黒字となる。
同日に発表された2024年1-9月期の連結純損益は1503億円の赤字で、前年同期の2084億円の赤字からは大幅な改善となった。
楽天モバイルの不振が業績の足かせとなっていたが、光明が見えてきたのだろうか?
●黒字化の中身
第3四半期の連結業績は、インタネットサービス、フィンテック、モバイル、すべてのセグメントでの増収を達成し、売上高は、前年同期比9.3%増の5667億円となり、過去最高となった。楽天モバイルは、23年にRakuten最強プランを導入して以降、ユーザー数が急速に伸びており、契約者数はドコモ、au回線を借りるMVNOとの合算では800万回線を超えた。
データ使用量が増えれば収益も伸びる仕組みだが、データ使用量は増加しており、収益構造が改善している。
楽天モバイルユーザーがポイ活により、楽天市場や楽天トラベルなどのサービスを積極的に使う相乗効果も期待できる。
●伸び悩む株価
三木谷浩史会長兼社長も悲願の携帯事業の黒字化について、「そんなに遠くない未来に実現できる」と語り、「グループ全体の成長のブースターになっている」と手応えを強調している。しかし、まだネットサービス事業と金融事業がモバイル事業の赤字を補填しているという構造には変わりはない。
株価の方は、決算発表までは期待から900円台に回復していたが、1000円台には届かず、決算発表後は再び下落し、900円を割り込んでいている。
財務問題を懸念する声は根強く、日本企業では最大のまま高止まりしているCDSに加え、自己資本比率も3.7%(2023年12月期)と低いままで、楽天モバイルが完全に軌道に乗ることを待っている時間はあまりない。
楽天モバイルが黒字化するのが先か、楽天Gがギブアップするのが先か、市場は固唾を飲んで見守る。