日本調理機(2961、東証スタンダード)。1947年戦後の学校給食向けにはじまり、現在は官庁関連の食事施設・企業の社員食堂・医療福祉施設・学生食堂・ホテル・etcと広範な施設の厨房機器事業を展開している。
具体的には洗浄機器・消毒機器・加熱機器・炊飯機器・調理機器等々。ホームページに具体的な製品が紹介されているが、球根皮剥(かわはぎ)機などには感心した。食品ロスは僅か5%と記されていた。この一例だけでも、歴史ある斯界のプロ企業を覚えた。
そんな日本調理機は今2024年9月期について8月9日、通期予想を上方修正した。「4.5%の減収(168億5000万円)、25.0%の営業減益(4億600万円)、100円配当」計画で立ち上がったが、それぞれを「181億6000万円、8億9000万円、130円配」とした。その理由を「資材高騰への対応が進み利益率が、期初の想定値より改善されたことにより・・・」とした。価格転嫁が積算時以上に進んだ、ということだろう。
斯界のトップ企業にして通年予想を積算する時点では、自社を巡る事業環境を読み切るのは難しいもののようだ。
ここしばらくの収益状況と決算資料をチェックし、それを改めて痛感した。
例えばこの種の業界でもコロナ禍の影響を受けるのだろうか、と確認した2021年9月期は「7.3%増収、43.1%営業増益」。決算資料には「20年9月期より新型コロナウイルス拡大防止による影響によって繰り越された一括案件が加わることになり・・・」とされている。
が22年9月期は・・・。「9.3%減収、48.3%営業減益」。「新型コロナウイルス感染症で事業所給食分野において厨房予算の縮小化や施工時期の先送り等が顕著になり、また想定していた案件の獲得に至らず、売上高が期初予想(0.4%減少)を下回ることになった結果・・・」と説明した。
こんどこそ「回復過程に」と計画した23年9月期(9.9%増収、36.1%営業増益)は、上回る「14.1%増収、57.7%営業増益」で着地した。
「コロナ禍」、そしてその後の「資材高」は企業収益を大きく揺さぶった。「この間の環境を、この上なく正確に読み切れた企業はあるのか」と問われれば、言葉を失う。日本調理機も未体験の事業環境を読み取る(読み切る)困難さに晒されたわけである。
時価は3000円台入り口。予想税引き後配当利回り2.58%余。7月に4260円まで買われている。が、時価の「予想PBR0.49倍」は同社にとり大きな課題であることは事実と言わざるをえない・・・