●MUFGがウェルスナビを完全子会社化へ
三菱UFJフィナンシャルグループ傘下の三菱UFJ銀行(MUFJ)は11月29日、ウェルスナビの完全子会社化を目指し、TOBを実施すると発表した。三菱UFJは全株式を取得して、完全子会社化する。買収額は約997億円と見られている。
メガバンクの三菱UFJとロボアドバイザーを利用した資産運用を行う新興企業・ウェルスナビが一つになることで、どのような相乗効果が期待されるのだろうか?
●ウェルスナビ
ウェルスナビは、財務省出身である柴山和久氏が2015年に設立した。2016年、「長期・積立・分散」の資産運用手法を自動で行うロボアドバイザーサービス「WealthNavi」をリリース。2020年12月には東証マザーズに上場した。
簡単な質問に答えるだけで、個々に合わせた資産運用を自動的に行う。手数料は1%。
NISAも活用でき、投資初心者でも気軽に低リスクで資産運用できることが強みである。
運用者数は若い世代を中心に37万人(2023年6月)を超え、預かり資産も2024年には1兆円を突破した。
●完全子会社化の双方の狙い
もともと両社は2020年から業務提携を結んでおり、三菱UFJはウェルスナビの15%超を保有する大株主でもあった。報道を受けて、三菱UFJの株価は小幅に上昇しており、12月12日には日経平均の4万円超えもあり、年初来高値を更新した。
三菱UFJは政府の方針である資産運用立国の実現や、新NISAの開始を受け、リテール部門を強化したい狙いがある。KDDIとの合弁のネット証券「auカブコム証券」を来年1月に完全子会社化する。
ウェルスナビにとっては、柴山CEOがホームページで公表しているように、顧客数・預かり資産が急増する中、三菱UFJとの連携で安全性を高めたい考えだと思われる。
ウェルスナビの仕組みを資産運用だけでなく、保険・年金・住宅ローンの分野まで広げたいという狙いもある。
三菱UFJは、23年度までに店舗数を4割削減し、2025年度までには窓口業務の7割デジタル化を目指すなど、従来型業務からデジタル化・効率化を目指している。
保守的とも言われる三菱UFJだが、ウェルスナビの子会社化が変革をもたらすかもしれない。