JR東日本は12日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)子会社の三菱UFJ銀行および三菱UFJ信託銀行との間で、10年間のパートナーシップ協定を締結したと発表した。建設中の「TAKANAWA GATEWAY CITY」を拠点とした、広域スタートアップエコシステムの構築を目指し、各社の事業基盤やネットワークを活用した連携施策を行い、エコシステム構築を推進する。
JR東日本がエコシステムの構想を打ち出したのは2024年3月。工事中のビジネス施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub(LiSH)」において、100社以上のスタートアップ企業のビジネス創造を支援すると明らかにした。
LiSHでは、事業会社やアカデミア、弁理士・税理士といった専門家からの支援のほか、基礎研究用の実験機器も提供。東京大学やシンガポール国立大学(NUS)、博報堂などが運営パートナーとして参画しており、ディープテックやモビリティ、ヘルスケアなど多様な業種のスタートアップ支援を予定している。
24年10月には、エコシステムを支えるファイナンス機能として「TAKANAWA GATEWAY 地球益投資事業有限責任組合(高輪地球益ファンド)」を設立。スタートアップと大企業の共創支援などを手がけているベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインと、JR東日本が共同で設立した。
同ファンドの規模は最大50億円を予定。環境・ロボット含むモビリティ・ヘルスケア領域を中心に、国内外のアーリーステージからミドルステージのスタートアップ支援を予定している。
今回の協定ではまず、高輪地球益ファンドにおける金融支援の強化を図る。またJR東日本とMUFGが持つ事業会社・アカデミアなどのネットワークを掛け合わせて、日本流のベンチャークライアントモデルの実装支援を行うという。
TAKANAWA GATEWAY CITY内のデジタル金融サービスの仕組み構築も想定。エリア内に「新たな接点」を設けて、「各世代の自立的な資産形成」を支援するサービスを検討する予定だ。
両者は以前にも連携して金融サービスを提供している。23年6月から期間限定で、駅ナカに「オンライン金融相談ブース」を設置する取り組みを実施。JR東日本が展開するSTATION BOOTHで、三菱UFJ銀行の行員によるNISAの概要説明を受けられるサービスを提供した。