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赤字法人「多」が指摘される医療・介護企業向けファクタリング展開:DMカンパニーの足元

財経新聞 2025年1月12日 15時9分

 調査機関から「病院の7割以上が赤字」「介護施設の約4割が赤字」、「医療法人、社会福祉法人の約5万社が赤字」といった調査データが示されている。赤字(予備軍)法人は、破綻の危機と隣り合わせと言って過言ではない。

 そんな状況下で昨年6月、興味深い企業が上場した。D&Mカンパニー(189A、東証グロース市場)。「F&Iサービス(I)」「C&Brサービス(II)」「HR&OSサービス(III)」を展開している。それぞれは、こう理解すればいい。

 ★(I)- ファイナンス&インベストメント:「診療・介護報酬債権のファクタリング」「医療・介護・障害福祉及びヘルスケア関連事業者向けリース」「その他金融支援」。

 ★(II)- コンサルティング&ビジネスリノベーション:「事業・組織・業務改革コンサル」「コスト削減等による事業サポート」「M&A支援」。

 ★(III)- 人材&アウトソーシング:「人材紹介・派遣」「外国人就労支援」「採用コンサル」「教育研修」。

 一口で言うと、医療・介護・障害福祉業者向けの「金融支援/営業支援/人材支援」を展開する企業。

 そして現状は、上場直後に発表した2024年5月期が示している。「7.1%増収(11億8900万円)、18.9%営業増益(2億8100万円)」。各事業別売上高は「I:前年同期比15.9%増(6億2800万円)、II:0.8%増(3億1500万円)、III:3.9%減(2億4500万円)」。

 ファクタリング・リースを中軸にした医療・介護・障害福祉及びヘルスケア関連事業者金融が、事業展開を牽引している。

 一抹の「?」を覚える。赤字法人が多い業態向けを主に対する金融。リスクを背負っているはず。「培ってきたノウハウを基盤に」としているが、礎は創業者・経営陣の職歴に求められるとみる。

 D&Mカンパニーは2015年11月、現社長の松下明義氏と専務の藤井幹正氏によって「診療・介護報酬ファクタリング事業、コンサル事業」企業として設立された。2人揃って現在の三井住友銀行出身。加えれば常務の野曽原浩治氏も同行出身。上場による調達資金も金融機関の与信度アップにつながったと捉えられる。

 公開価格1000円に対し初値は1308円。期待を背負って生まれた。本稿作成中の時価は800円台入り口。昨年来高値は6月の1362円、安値は8月の639円。地相場入りしての戻り基調か否かは、未だ判断がしづらい。

 が今5月期も「16.9%増収(13億9000万円)、7.4%営業増益(3億100万円)」計画で立ち上がり、第1四半期の実績は「4億4100万円、8700万円」と上々の滑り出し。注目しておきたい企業ではある。

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