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昔の車の操作の難しさ (3) - 補器類の進歩

財経新聞 2025年1月17日 16時30分

 引き続き昔の車の、古かった装備や操作の難しさを、振り返って見たい。

●パワーウインドウ

 パワーウインドウ(PW = power windows)登場以前は、ウインドレギュレーターという、手回し式ハンドルで窓ガラスの上下をしていた。

 それよりもっと昔は、引き違いのガラス板をスライドさせていたのだが~。

 最近の車はエアコンを年中使用しているから、窓の開閉は駐車場の発券時と精算時位になってしまったが、エアコンが普及する以前だから、窓ガラスの開閉は結構頻繁に行っていた。

 PWが登場した当初は、PWスイッチは、全ウインドウを操作する集中スイッチが運転席のダッシュ内に設置されたりした車もあったが、各ドアに設けるスイッチは、アームレストにシーソー式スイッチが一般的だった。

 ところが、子供が窓から顔を出している時に、誤ってPWスイッチを踏んだのか、ガラスに首を挟まれる悲惨な事故が発生した。

 踏んだままの状態だから、スイッチは入りっ放しとなり、PWのモーターは相当強力だから、重大事故に繋がった。

 現在の車のPWスイッチは、押し下げればガラスは下がり、ガラスを閉める時にはスイッチを引き上げる構造になっている。

 これにより、誤って上昇したガラスに挟まれる事故は、ほゞ無くなった。

●リヤデフォッガー

 昔の車には、後部ガラスの曇り止め装置は無かった。

 最初に後部視界確保の為に設けられたのは、フロントのデフォッガーと同じく、ヒーターの温風をガラス面に吹き付ける為に、リヤ・パーシェルシェルフ(車室後部ガラス下部の棚)にユニットを設けた装置だった。

 その後、熱線プリントが登場し、現在では後部の曇り止めは殆どこのシステムとなっている。

 熱線プリントが登場した当初は、ON/OFFは手動だったが、熱線プリントは結構電気を消費するので、最近は適当な時間が経過すれば、自動でOFFとなるのは親切な設計だ。

●ウインドウオッシャー

 現在の車は、スイッチを操作すればウインドウオッシャー液が噴射するのが当たり前になっている。

 しかし、昔はそんな装置自体が存在しなかった。

 街の起業家が発明した「車外部品」が登場したのは1960年頃だったと記憶しているが、構造的にはゴム製のコーヒーフレッシュ容器を二回りほど大きくしたボタンをダッシュボードに取り付けた。

 洗浄液のタンクはエンジンルームに設置して、要はゴム製ポンプを推して洗浄液をフロントガラスに吹きかける。

 電動モーターの類は一切使っていなかった。

 筆者の家の車にも、早速父親が装着させて、結構便利だと評価していた。

●オートビームチェンジャー

 『死語になった自動車用語「ディマースイッチ」(2021年3月4日)』で述べたが、昨今はオートモードでヘッドランプのアッパー、ロワーの切り替えまでしてくれるが、昔は床に設置された「ディマースイッチ」で行った。

 この対策として、ヒルマンミンクスには、相手方のヘッドライトを受光すると、ハイビームをロービームに切り替えてくれる装置も装備されていた。

 尤も、土地付き一戸建て家屋が買える位の高額車だったから、当然と言えば当然だったかも知れない。

●アンテナ

 昔の車はAMラジオだった。勿論、それ以前には車載のラジオなんて無かったが。

 ラジオ受信機は、トランジスタになる前には真空管式だから、スイッチを入れてから少し経ってラジオが鳴り出した。

 余談ながら、昔はNHKのラジオは聴取料が要り、家には玄関や門扉に受信票が貼られていたが、筆者の家の車にも後席ガラスにステッカーが貼ってあった。

 その頃のカーラジオのアンテナは、ロッド式で、大体はフロントフェンダーに埋め込まれていて、アンテナ先端のリング状の窪みに簡単な鍵を差し込んで引っ張り出していた。

 その後、ラジオのスイッチを入れると、1段分が飛び出す方式が普及した。そして上級機種には、モーターで上下する方式が現れた。

 その後、ラジオにFMも搭載される様になると、リヤウインドウにプリントされたり、フロントガラスにサンドイッチした方式も現れた。

 外部に突起していると、悪戯で折られたりするのを防ぐ目的だった。

 現在は、ルーフ後部に可倒式ロッドのアンテナを設けたり、ルーフ後端にシャークフインタイプの物が設けられている。

 ラジオを聴取すること自体が少なくなったが、何等の操作も必要無くなって、便利になった昨今である。

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