東京商工リサーチが2024年12月度の「全国企業倒産状況」を発表。2024年は年間を通して物価高や人手不足が続いたことから、中小規模の企業を中心として倒産件数が増えていることが分かった。
■4カ月連続で倒産件数が前年上回る
14日、東京商工リサーチが2024年12月の「全国企業倒産」を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比3.95%増の842件となり、4カ月連続で前年同月を上回った。また12月の負債総額は同87.96%増の1,940億3,000万円だった。主な大型倒産企業は中古車販売のBALM(負債総額:831億円、以下同じ)、医療関連の社団美実会(72億9,500万円)、医療器具販売のADI.G(65億500万円)、医療機関経営の一般社団法人八桜会(51億7,500万円)、不動産業の西宝土地開発(28億7,000万円)など。
■10産業中7産業で前年同月上回る
産業別の倒産件数は10産業中7産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の287件(前年同月比:7.49%増、以下同じ)。次いで建設業が168件(3.06%増)で、この2業種が100件超え。以下は卸売業が90件(5.26%減)、小売業も90件(4.65%増)、製造業が89件(8.53%増)、運輸業が45件(8.16%減)、情報通信業が33件(13.15%減)、不動産業が27件(35.00%増)、農・林・漁・鉱業が11件(37.50%増)、金融・保険業は2件(前年同じ)。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは東京都の146件。次いで大阪府(132件)、愛知県(48件)、兵庫県(47件)、神奈川県(41件)、京都府(35件)、福岡県(32件)が続く。
反対に倒産件数が少なかったのは、山口県がゼロ件、佐賀県が1件、鳥取県と島根県が各2件、秋田県と長崎県が各3件となっている。
■2024年の倒産件数は11年ぶりに1万件超え
2024年の年間を通した企業倒産(負債1,000万円以上)件数は、前年比15.14%増の1万6件となり、3年連続で前年を上回った。年間の倒産件数が1万件を超えたのは、2013年(1万855件)以来11年ぶり。負債総額は同2.46%減の2兆3,435億3,800万円。主な大型倒産企業は、航空機開発製造のMSJ資産管理(負債総額:6,413億円、以下同じ)、融資・投資事業のエクシア合同会社(850億円)、中古自動車販売のBALM(831億円)など。負債総額は3年連続で2兆円を超えたものの、負債額が1000億円を超える大型倒産は1件に留まった。
倒産に至る主な要因として、物価上昇や人件費の上昇とともに、新型コロナ禍の資金繰り支援で生じた過剰債務の解消遅れによる収益悪化もある。
■負債1,000万円未満倒産も増加傾向
また2024年の「負債1,000万円未満」倒産件数は、前年比8.2%増の536件となり、2年連続で前年を上回った。また年間の倒産件数500件超えは、2020年(630件)以来4年ぶりのこと。産業別で最も倒産件数が多かったのは、サービス業他の243件(前年比:6.1%増、以下同じ)。以下は建設業が81件(8.0%増)、小売業が77件(20.3%増)、卸売業が44件(10.0%増)など。
倒産の要因は物価高や人手不足があり、今後も人件費の上昇傾向が続くと予想できることから、その対応に窮する小規模企業の倒産が増えるとみられる。