●ispaceが月面着陸船打ち上げ
日本企業として初の月面着陸を目指すispaceは15日(日本時間)、米国ケネディ宇宙センターから、Space X社のFalcon 9により月面着陸船を打ち上げた。今後4~5カ月後に、月面着陸を目指す。ispaceは2022年にも月面着陸船を打ち上げていたが、着陸直前で失敗しており、今回は再挑戦となる。
着陸に成功すれば、米宇宙企業インテュイティブ・マシンズ以来、民間企業で2機目となり、競争が激化する宇宙ビジネス市場で、日本企業が大きく存在感を示すことができる。
宇宙産業がもたらす市場成長率は年間9%とも言われており、全体のGDP成長率を高めることも期待されている。
●ispaceとは?未来を変える月面着陸
ispaceは、2013年に活動拠点をオランダから日本に移し、法人化された。2022年に着陸には失敗したが、民間企業として初の月面着陸船の打ち上げに成功した。2023年には東証グロース市場へ、宇宙ベンチャー企業としては初の株式上場を行っている。
月の地中には、水の氷があることが分かっており、月から帰る時のロケットの燃料として活用できる。
月にはレアメタルを含む100種類の鉱物があると言われ、将来的には燃料への活用を目指している。
月面や月周辺の活動が盛んになれば、建設・インフラ・エネルギー分野の事業にもすそ野が広がり、月探査に関連する経済活動だけでも1,700億ドル(約26兆円)の経済規模となる予測もある。
●動きの鈍いispaceの株価
16日には安定した航行状態の確立を示すSuccess3に成功したが、出尽くし感なのか株価は約10%下落した。前回の失敗のトラウマがあるのか、まだ投資家は半信半疑で積極的には買えない状況である。
宇宙ビジネスは米国が突出しており、政府官僚主導の日本では、研究開発費などの課題は多い。世界の宇宙ビジネスの市場規模は約60兆円とみられ、その半分は米国である。2位の中国にも大きく水をあけている。
日本の市場規模は4兆円程度ではあるが、政府主導で三菱重工や川崎重工、電気メーカーなどが進めてきた。
ただ、ispaceなどのスタートアップ企業も増えており、株式上場で資金調達をする企業も増えてはいる。
株式市場での盛り上がりが日本の宇宙産業での競争力を左右するかもしれない。だからこそ、今回のispaceによる月面着陸の成功に未来がかかっている。