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接骨院・整骨院「近代化」促進企業:リグアの立ち位置をチェック

財経新聞 2025年1月25日 10時51分

 リグア(7090、東証グロース)。柔道整復師(国家資格保有者)により運営される接骨院・整骨院向けのヘルスケア商材の卸し、経営支援を手掛けている。また金融事業も並行して展開。

 接骨院・整骨院が手掛ける治療は捻挫・打撲・骨折・脱臼などが対象となるが、治療法は整形外科とは異なる。いわゆる「手術」はしない。患部を(引き戻すなどして)元の形に固定し整復を促す。

 施される治療が健康保険証の対象となる内容か否か等々、詳細は読者各位に調べて頂くとして・・・そんな接骨院・整骨院関連の唯一の上場会社(2020年3月公開)である。

 創業者で現社長の川瀬紀彦氏は自身も語っているように、「僕の身体は古傷のデパート状態」。高校時代のラグビー、大学時代のアメフトと激しいスポーツに長らく身を置いた結果「手の指は固定できず、力を入れると90度に折れ曲がる」「首にはヘルニアが残る」「膝の後十字靭帯も切断してなし」etcという状態。

 そうした後治療を目的に柔道整復師の資格を得て創業、いわば接骨院・整骨院の近代化を図らんがために現業に歩みを踏み入れたわけだが・・・

 目下の段階では、目指した事業環境に身を置くには至っているとは言い難い。接骨院・整骨院の必要性は客観的には認められる。

 例えば厚労省の令和2年版リリースによると、生涯医療費は男性:2614万円/女性2781万円。多額な医療費の背景には、平均寿命vs健康寿命の問題がある。

 健康寿命をそこねる要因としては、「骨折・転倒・関節疾患(★)/23%」「認知症/18%」「脳血管疾患/16%」「衰弱/13%」「その他/30%」という客観的データがある。「★」の後治療の必要性が改めて痛感させられる。

 がここ数期間のリグアの収益動向や株価動向には、「★の後治療」の需要の顕著な伸びを確認することはできない。前2024年3月期は「20.9%増収、2億7400万円の営業黒字」だが内容はこんな具合。

<接骨院・整骨院向け商材卸し業など、ウェルネス事業> 患者情報管理システム: 前年比21.4%減収。機材・消耗品卸し: 10.2%減収。コンサルティング事業: 10.06%減収。療養費等請求代行サービス: 24.9%増収。ヘルケアブランド商品の販売: 189.3%増収。セグメント全体で17.4%増収、1億4073万円営業利益。

<金融事業> 保険代理業: 11.8%増収。金融商品仲介業: 26.0%増収。財務コンサル(M&A仲介含む): 432.9%増収。セグメント全体では29.9%増収、営業損失2243万円。

 金融事業の位置づけを川瀬社長は「体とお金の双方の健康」としているが・・・

 要は「ウェルネス事業が接骨院・整骨院経営の近代化を促しきっていない」ということだと認識するが、時価(2020年3月13日に公開価格とほぼ同額の初値1910円で生まれた)も900円台半ば水準と方向感が定まっていない。今後をどう捉えるかは、現状では「難しい」と言わざるを得ないと考えるが・・・

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