「蛍光灯 2027年問題」。2023年10月にスイスのジュネーブで開かれた『水俣(水銀)条約第5回締約国会議』で、「直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止すること」が決められた。
そもそも日本発の「国際条約」。122カ国が署名し、6カ国が批准した。既に25年末までに禁止が決められており、日本ではこの決定で一般照明用の全ての蛍光灯の製造が終了することになった。
蛍光灯の製造・輸出入が禁止された最大の要因は、水銀が健康に悪影響を及ぼすリスクがあるためだった。とりわけ蛍光灯に使用されている水銀は毒性が高く、水俣病(頭痛・耳鳴りなどを引き起こす)を誘発する原因として知られていた。
水俣条約では「原因の水銀を使用した蛍光灯の廃止」という結論(2017年8月16日発効)に至っていた。蛍光灯は産業廃棄物として扱われる。適切な処理がなされないと水銀が放出され、土壌が汚染される。雨水で地下水や河川に流れ込み、水質汚染を引き起こす可能性が高い。故に締約国会議が数次に亘り行われ、今回の結論に至ったわけだ。
要はこの決定で、何がどう変わるのか。「従来の蛍光灯は製造輸出停止」、そして水銀を使用しない「蛍光照明器具」の需要が急拡大する。そう「LED蛍光灯」に、蛍光照明が全て換わっていくという流れだ。オフィスの蛍光灯を、改めてチェックして欲しい。未だ従来の「蛍光灯」が多いのではないか。
兜町では、「LED関連企業は、機に触れ折に触れて物色材料として重宝されるのではないか」といった声も聞かれる。
非上場企業には「LEDメーカー」を前面に押し出す存在も多い。例えばオネスト。「地球温暖化にLED照明やコンティニュームを通して対応していく」としている。エレバムは「創業93年。高性能LED蛍光灯の開発・製造と取り組んでいる」。エコ・トラスト・ジャパンは「2011年、LED照明に進出した。当時は100社以上がしのぎを削っていたが、いまは数十社程度。収益源に育っている」。
では上場組では・・・。パナソニック(6752)や小糸製作所(7276)が目を引く。が総売上高に占める割合は限定的。関連株物色の対象となるかは、正直疑問。
兜町筋から聞かれた銘柄に、スタンレー電気(6923)もあった。前3月期の決算資料を覗いて見た。3本柱の一角に<コンポーネンツ事業>がある。こう、発信されていた。「当セグメントにおける主な製品は、LED、液晶等」とし、「LED照明市場は増加」と示されていた。さて・・・