●DeepSeekが最新AIモデル発表で株式市場混乱
中国のAIベンチャー企業DeepSeek(ディープシーク)社が1月20日に最新AIモデル発表し、そのAIアプリは、アップルストアでのアプリダウンロード数1位を記録した。1週間後の1月27日の米国市場では、半導体大手エヌビディア株が一時17%下落し、その他のAI関連株も下落した。
NYダウも約130ドル下落、日経平均も2日間で900円超下落するなど、株式市場に動揺が広がった。
瞬間的にエヌビディアは時価総額で6000億ドル(約93兆円)消失したと言われており、米国のAIバブル崩壊、エヌビディア1強時代の終焉となるのだろうか?
●DeepSeeekのAIはどう違う?
DeepSeek社は、中国のヘッジファンドが2023年に立ち上げた新興企業である。その新興企業が、米国AIの開発費と比べ10分の1以下の費用で、米国が輸出規制をしているエヌビディアが製造するGPUを必要としない、高性能なAIを製造したという。それが流通したことで脅威とみなされた。
米国側もDeepSeek社のAIの優位性を認めており、トランプ大統領も「安価な方法があるのは良いことだ」と評価。あくまで選択肢が増えたという認識だ。
ただ天安門事件や台湾問題といった、中国政府に不利な問題には答えられないなど、中国政府の検閲があると見られ、安全保障の面などからも今後障壁となる可能性が高い。
●短かったDeepSeekショック
28日にはNYダウが反発するなど、今のところ大きなショックにはならなかった。開発費はわずか500万ドル(約7億8000万円)と言われているが、構築に関連するコストを省いているため、実態を反映していないという指摘もある。
もし多額のコストをかけずに高品質なAIが使用できるなら、その裾野は広がる。インフラなどだけでなく、サービス関係にDeepSeekが使用されるなどすれば、逆にサービス分野の買い材料となる。
今回のDeepSeekショックは、買われ過ぎだった半導体関連株の調整売りとの見方もあり、本当に脅威なのかは判断できない。
しかしDeepSeekが米国に脅威となれば、トランプ大統領が中国へ関税をかけることも考えられ、利下げを早めることにも繋がるかもしれない。
本物のDeepSeekショックに警戒が必要かもしれない。