建設大手の奥村組と不動産開発の三菱商事都市開発は、大阪市のJR平野駅前にある奥村組所有地(平野区平野北)で、商業施設と物流施設の複合開発を進めることで事業協定書を締結した。今後、両社で計画内容を詰める。
計画場所は、JR関西本線の平野駅から北へ歩いて2分の場所にある約2万2,000平方メートルで、2023年までイオンタウン平野が営業していた。「(仮称)平野複合開発事業」として鉄骨4階建て延べ約2万7,000平方メートルの商業施設と、鉄骨4階建て延べ約1万6,000平方メートルの物流施設を整備する。
イオンタウン平野の建物は既に撤去され、整地されているが、新商業施設の出店店舗や建設工事の着手、完成時期など開発事業の詳細は明らかにされていない。
平野駅周辺は古くからの住宅街が広がる人口密集地。JR大阪駅まで約30分、JR難波駅まで約15分の位置にあり、阪神高速と近畿自動車道が利用可能で、大阪都心部へ通う人が多い。平安時代初期に創建されたと伝えられる杭全神社や、融通念仏宗総本山の大念仏寺、約15のミニ博物館が集まる「平野町ぐるみ博物館」など、街の歴史に触れられる散策スポットもある。
駅から少し離れた場所にディスカウントスーパーのサンディ平野加美北店、平野背戸口店、業務スーパー今川店、スーパーのライフ平野西脇店などが営業し、販売競争が激しい場所とされている。しかし駅前にあったイオンタウン平野の閉店で、不便を感じる人が少なくない。
奥村組と三菱商事都市開発は開発事業の狙いなどについて公表していないが、駅前という利便性の高さを生かし、イオンタウン平野が持っていた需要を取り込もうと考えているとみられる。