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相場展望2月6日号 米国株: (1)米国第一 (2) 個人の名誉を実現の手段「関税」を使い取引 日本株: (1) 関税の不透明感 (2) 円高進行が逆風、重い展開を予想

財経新聞 2025年2月6日 11時30分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/3、NYダウ▲122ドル安、44,421ドル  2)2/4、NYダウ+134ドル高、44,556ドル  3)2/5、NYダウ+317ドル高、44,873ドル

●2.米国株:(1)米国第一主義(2)個人の名誉を実現の手段として「関税」で取引

 1)2/3、米国株式市場は対メキシコの関税1カ月延期で下げ幅は縮小   ・朝方は一時▲660ドルあまり下落したが、メキシコとの合意を好感し下げ幅を大きく縮め▲122ドル安で終えた。

 2)株式相場は、ご難続き   ・1/27 中国・DeepSeekショック

  ・2/03 メキシコ・カナダへの25%関税、中国に+10%追加関税ショック     ・インフレ再燃懸念が高まり、株価は一時▲660ドルあまり下落した。     ・その後、メキシコとカナダとは不法移民・麻薬対策で合意し、関税賦課を1ヵ月延期で合意した。株価は、合意を受けて下げ幅を大きく縮めた。     ・中国に対してのみ追加関税2/4実施となり、中国は報復措置を発表。ただ、中国の報復措置は限定的である。中国が米国製品140億ドルに平均12%の追加関税を課すのに対して、米国は5,250億ドルの中国製品に10%の追加関税を発動する状況をみると、中国の報復措置は「報復と言えない」レベルにある。     ・米国と中国の今後の関税の行く先に注目したい。

  ・次の懸念:2/18ごろに半導体・石油などにも関税を課す     ・影響として、半導体価格は価格上昇が避けられず、短期的には需要が縮小する恐れがある。     ・ただ、低レベルの半導体価格(家電製品などに使用)には及ばない可能性がある。また、石油価格は低下する可能性がある。

 3)トランプ氏の関税賦課は、「米国第一主義」実現のための取引手段   ・米国に果実をもたらすため「関税」を使って有利な交渉     ・米国に工場建設を促す(米国における製造業の復活)

    ・米国の貿易赤字の大幅改善       ・ただ、米国企業が多国籍企業となって世界展開⇒安い労働力を求めて、海外拠点で生産し米国に輸入している。       ・米国の赤字は巨額であるが、米国系企業の利益が海外で蓄積されている。その米国系企業の海外での利益蓄積が、進出国の貿易黒字となっっている。       ・そのため、米国の貿易赤字+米国系企業の海外利益の差引でみるきべである。       ・よって、米国の多国籍企業の海外利益を配当という形で米国本土に送金させれば、米国の貿易純赤字は大幅に縮小できる。

    ・麻薬対策     ・貿易戦争での勝利     ・中国の弱体化     ・不法移民     ・ノーベル平和賞の受賞(トランプ氏が個人として求めているもの)

●3.米国1月ISM非製造業総合指数52.8に低下、関税による価格上昇懸念(ロイター)

 1)前月の54.0から低下し、予想は54.3だった。

●4.米国12月求人件数は760万人と▲55.6万人減少、過去14ヵ月で最大落込み(ロイター)

 1)予想は800万人だった。  2)雇用主は人員増加に慎重な姿勢を維持しているため、解雇された労働者が新しい仕事を見つけるのが難しくなっている。

●5.不確実性を受け、利下げに慎重になる必要=シカゴ連銀総裁(ロイター)

 1)インフレ率が再び上昇し始めるリスクがあるため、慎重により注意深くならなければならない。

●6.対中国の+10%追加関税は、香港製品にも適用=米国税関当局(ロイター)

●7.中国「報復措置」、石油や液化天然ガスに15%、原油や農業機械に10%関税(TBS)

 1)トランプ関税に対する報復関税は2/10から課す。  2)WTO(世界貿易機関)に提訴。  3)グーグルを、中国独占禁止法に違反の疑いで調査。  4)重要鉱物のタングステンなど5品目の輸出規制を実施。

●8.トランプ氏、中国国家主席と数日中に関税を巡り協議=報道官(ロイター)

●9.トランプ氏、カナダへの関税発動を1ヵ月延期、トルドー首相が公表(毎日新聞)

 1)トルドー氏は、不法移民と違法薬物に対する米国の懸念に対処するため、13億カナダドル(約1,400億円)を投じ、米国国境の警備強化に1万人の人員を配備すると強調した。また、合成麻薬フェンニタルの担当長官を新設し、米国との合同部隊を発足させるとした。

●10.トランプ氏、対メキシコ関税発動を1ヵ月見送り、国境警備強化で合意(ロイター)

 1)メキシコは、米国への合成麻薬フェンタニルなどの麻薬の流入阻止に向け、国境警備強化のため1万人の部隊を派遣する。  2)米国側も、メキシコへの高性能兵器の流入阻止の取り組みを約束した。  3)対カナダ関税については、トランプ大統領は日本時間2/4午前5時にカナダのトルドー首相と再会談する計画。

●11.パナマ、一帯一路離脱意向、米国は中国のパナマ運河支配を懸念(共同通信)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/3、祝日「春節(旧正月)」のため休場  2)2/4、祝日「春節(旧正月)」のため休場  3)2/5、上海総合▲21安、3,229

●2.トヨタ、上海にレクサスEV新工場、年間10万台生産、雇用1,000人(dmenu)

 1)合弁ではなく単独出資(独資)とし、2027年以降に生産を始める。中国では外資メーカーのシェアが低下し、ホンダや日産自も生産縮小を決めているが、トヨタは開発や生産機能の強化に踏み切る。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/3、日経平均▲1,052円安、38,520円  2)2/4、日経平均+278円高、38,798円  3)2/5、日経平均+33円高、38,831円

●2.日本株:(1)関税への不透明感(2)円高進行が逆風となり、重い展開を予想

 1)米国・中国の対立激化を警戒   ・中国経済にとってマイナス要素が増すことになる。   ・中国は(1)不動産不況(2)インフラ投資減③個人消費減退の状況が続くなか、成長エンジンの輸出が縮むことは回避したいはずである。   ・対立激化の跳ね返りが日本に波及することに警戒感が高まっている。

 2)好決算発表銘柄に買い   ・株価指数を下支えしている。

 3)米国の関税引上げで、日経平均は2重苦   (1)米国に直接輸出に対する関税の負担     ・関税分を価格転嫁できるか?   (2)中国への+10%の追加関税の跳ね返り

 4)米国の同盟国に対する適用関税率は現在、不明

 5)円相場は「円高」へ   ・日本・米国の長期金利差が縮小し、円高進行     2/3 3.310%  ⇒ 2/4 3.233%  ⇒ 2/5 3.139%   ・円相場の推移(日本時間)     2/3 155.38円 ⇒ 2/4 155.23円 ⇒ 2/5 153.13円   ・輸出企業の業績にとって、重荷になる。

 6)日本株は、(1)関税への不透明感 (2)円高進行が逆風となり、重い展開を予想

●3.旭化成、通期営業利益予想+1,950⇒+2,000億円(前年比+42.1%増)上方修正

 1)電子部品など全事業で増益。(ロイター)

●4.トヨタ、通期の営業利益を+4,000億円上方修正、原価改善や為替で(ロイター)

 1)従来予想+4兆3,000億円⇒+4兆7,000億円へ上方修正。円相場147⇒152円。  2)アナリスト予想+4兆8,240億円には届かず。

●5.バンナム、通期営業利益予想+1,800億円に上方修正、期末配当60円(ロイター)

 1)従来予想は+1,600億円だった。

●6.三菱商事、千葉・銚子沖の洋上風力発電建設が資材価格高騰で着工見通し不明(NHK)

 1)三菱商事と中部電力の子会社などでつくる事業体は、国の認定を得て、秋田県と千葉県の沖合の3つの沖合で洋上風力発電事業を計画している。  2)参画する中部電力の子会社は去年4~12月期決算で▲179億円の損失を計上。

●7.2024年実質賃金3年連続マイナス、「賃金上昇も物価高に追いつかず」厚労省(TBS)

 1)物価の変動を反映した「実質賃金」は、前年を▲0.2%下回り、3年連続でマイナスとなった。

●8.パナソニック、構造改革へ、テレビ事業見直し売却撤退含め検討(NHK)

●9.ホンダ、日産自に子会社化を打診、強い反発、実現が不透明(時事通信)

 1)日産自2/5、ホンダとの協議打ち切り方針で、経営統合が破談へ(TBS)

●10.ソフトバンクG、オープンAIと合弁会社設立を発表(NHK)

 1)合弁会社は、企業向けAIの開発・販売に向けて50%ずつ出資する。  2)ソフトバンクGは昨年11月、傘下の投資ファンドを通じてオープンAIに5億ドル(約780億円)を投資したと発表。  3)ソフトバンクGは、AI関連の事業や投資を強化する方針を打ち出し、   (1)半導体(2)データセンター(3)ロボットの3つの事業に注力する。

●11.中部電力、洋上風力発電を巡り4~12月期決算で▲179億円損失(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3048 ビッグカメラ     業績好調  ・4062 イビデン       受注好調  ・6954 ファナック      受注好調

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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