【マンガ探偵局がゆく】マンガ編集者ってどんな仕事してるの? マンガ、自伝、小説で分かるその世界

夕刊フジ / 2018年8月10日 17時1分

★ミッション(43)マンガ編集者ってどんな仕事してるの?

 夏休みになると、依頼人に若い人が混じるのが嬉しい。これもそんな一人から。

 「高校2年生の女子です。マンガが大好きで、将来はマンガに関わる仕事をしたいのですけど、絵が下手なので編集者をめざそうかなと思ってます。夏休みを利用して、編集者ってどんな仕事なのか、しっかり勉強したいので、探偵局でおすすめの本を教えてください」(珠子)

 夏休みを将来のために使うというのは、とてもいい心がけだ。今どきの若者を見直した。

 同じ編集者と言っても、情報雑誌や文芸誌とマンガ雑誌の編集者ではその仕事内容はずいぶん違う。マンガ雑誌の編集者は、マンガ家と二人三脚で作品作りに関わる“よきパートナー”でなくてはならないのだ。

 『あしたのジョー』に心酔してプロボクサーを目指し挫折した青年が、大手出版社のコミック誌にアルバイトとして入社して、そこで“編集界のあしたのジョー”を目指す土田世紀の『編集王』(小学館漫画文庫)など業界を舞台にしたマンガは多いが、依頼人にお勧めしたいのはテレビドラマにもなった松田奈緒子の『重版出来!』(小学館)だ。

 週刊コミック誌の新米女性編集者がマンガ家とともに作品作りに奔走する姿を描く青春マンガだ。マンガ家と編集者だけでなく、出版社の営業や書店員、印刷所など裏方も登場するので、ずいぶん参考になるはず。

 大場つぐみ・原作、小畑健・マンガの『バクマン!』(集英社)には、ジャンプ編集部のリアルな姿が描かれているので、これも読むといいだろう。こちらは映画化されている。

 名編集長と呼ばれた人たちの自伝も読み応えがある。『さらば、我が青春の「少年ジャンプ」』(幻冬舎文庫)は『少年ジャンプ』創刊時の編集者で第3代編集長でもあった西村繁男の自伝。

 『実録!少年マガジン名作漫画編集奮戦記』(講談社)は少年マガジン第4代編集長でヤングマガジン創刊編集長である宮原照夫の自伝。『神様の伴走者~手塚番13+2』(小学館文庫)はマンガの神様と言われた手塚治虫の元担当編集者たちへのインタビュー集。聞き手は元ビッグコミック編集長の佐藤敏章だ。

 小説では、芥川賞作家・藤野千夜の『編集ども集まれ!』(双葉社)が面白い。高校時代には漫研一筋だった主人公が、念願のマンガ雑誌の編集部に契約社員として入社。ある事情で退職するまでの8年8カ月の出来事を描いた実録小説だ。全編にマンガ愛が溢れているので、ぜひ読んでほしい。

 ■中野晴行(なかの・はるゆき) 1954年生まれ。フリーライター。京都精華大学マンガ学部客員教授。和歌山大卒業後、銀行勤務を経て編集プロダクションを設立。1993年に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』(筑摩書房)で単行本デビュー。『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(同)で日本漫画家協会特別賞を受賞。著書多数。

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