トランプ氏、新たな対中関税も辞さない姿勢 新型コロナ巡り
ロイター / 2020年5月1日 11時1分
4月30日、米当局者ら複数の関係筋は、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する動きが米政権内で出ていることを明らかにした。ただ、こうした動きは初期段階にあるとして慎重な見方も示した。米国防総省で2018年11月9日撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)
[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、中国が新型コロナウイルス流行の原因を作ったとの懸念がある中、同国と1月に締結した「第1段階」の通商合意の重要性が低下したとの認識を示し、新たな対中関税の発動も辞さない姿勢をにじませた。
一方、米当局者ら複数の関係筋は、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する動きが米政権内で出ていることを明らかにした。ただ、こうした動きは初期段階にあるとして慎重な見方も示した。
米当局者が匿名を条件に語ったところによると、さまざまな選択肢が検討されているものの、トランプ大統領の国家安全保障担当トップのレベルには達しておらず、大統領にも提示されていない。
別の関係筋2人によると、現時点では国務省やホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)、財務省、国防総省など複数機関の当局者が非公式にさまざまな選択肢を議論しているという。
関係筋の1人は、米国は中国から防護具を輸入しているほか、通商協議に悪影響を及ぼすことにも慎重だとして、「中国にどの程度強硬な措置を講じ、どのように適度に調整するか議論が交わされている」と述べた。
トランプ氏は記者団に「われわれが署名した通商合意は中国が(米国産品の)購入を増やすというもので、実際に多くを購入している。しかし、新型コロナで起きたことを優先すべきで、通商合意は二の次になった」と述べた。「コロナを巡る状況は全く受け入れられない」と続けた。
通商合意は中国が米国から農産品やエネルギー商品、工業品の輸入を増やす見返りに、米国が対中関税の一部を引き下げるという内容だった。
関係筋2人によると、中国への制裁発動や、新たな関税またはその他の貿易制限のほか、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」を中国に対し認めない措置などが検討されているという。
ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)らNSC関係者から報復措置を求める声が強い一方、財務省当局者は慎重な対応を促しているもようだ。
関係筋らは、議論はきわめて予備的な段階にあり、近く大きな措置が講じられるとはみられていないと話した。
米紙ワシントン・ポストは30日、関係筋の情報として、米政府高官が中国保有の米国債の一部を帳消しにすることを協議していると報じた。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は「全くの誤り」として報道内容を否定した。[nL4N2CI5K3]
トランプ氏は、中国に制裁を加える措置として債務支払い停止を検討するかどうか問われ「異なるやり方がある。関税発動によって同じ制裁でも金額が増やせる。そうすれば(債務支払い停止の)必要はなくなる」と応じた。
トランプ大統領は29日、ロイターのインタビューで、新型コロナへの中国の対応巡りさまざまな選択肢を検討していることを明らかにし、「私には多くのことができる」と述べた。[nL4N2CI0MG]
ポンペオ国務長官はこれまでに、米政府は現時点でウイルスとの闘いを優先しているが、いずれ中国の責任を問う時が来ると警告している。
*内容を追加しました。
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