アングル:「サンダース氏で勝てる」、民主党有権者の支持拡大
ロイター / 2020年3月2日 8時7分
2月26日、米大統領選で民主党候補指名を争うバーニー・サンダース上院議員は「社会民主主義者」を自称し、国民皆保険制度など大胆な政策を掲げており、他の候補者はサンダース氏が指名を獲得すればトランプ氏の再選を許してしまうと警告している。写真は23日、テキサス州オースティンの選挙集会で演説するサンダース氏(2020年 ロイター/Mike Segar)
[ニューヨーク 26日 ロイター] - 米大統領選で民主党候補指名を争うバーニー・サンダース上院議員は「社会民主主義者」を自称し、国民皆保険制度など大胆な政策を掲げており、他の候補者はサンダース氏が指名を獲得すればトランプ氏の再選を許してしまうと警告している。しかし民主党有権者の間では11月の本選挙で勝てる可能性が最も高いのはサンダース氏だとの見方が広がりつつある。
サンダース氏は年齢、人種、政治信条などの幅広い層で支持が増加し、先週ネバダ州で開かれた民主党党員集会を席巻。ぶれない進歩派のサンダース氏が指名を獲得すれば、各種選挙で民主党の得票が減ると考える民主党幹部の間に警戒感が広がった。
民主党が25日にサウスカロライナ州で開いた討論会ではサンダース氏が本選で勝てるかどうかが争点になった。他の候補者は国民皆保険制度などサンダース氏が主張するリベラルな政策では民主党が大統領選や議会選で敗北を喫し、「大惨事」になると主張した。
しかしロイター/イプソスの最新世論調査によると、サンダース氏はアイオワ州の予備選で接戦を演じ、続くニューハンプシャー州では僅差で勝利、ネバダ州では圧勝するなど勢いを増し、民主党有権者の間で信頼度が高まっている。
民主党員と無党派の有権者を対象に2月17-25日にかけて実施した調査では、トランプ氏と競る上で最も有力な民主党候補を問う質問で、約26%がサンダース氏を挙げた。マイケル・ブルームバーグ氏は20%、ジョー・バイデン前副大統領は17%だった。
同じ質問でバイデン氏が27%とトップに立ち、サンダース氏が17%に過ぎなかった1カ月前の調査とは様変わりした。
サンダース氏はネバダ州の党員集会ではラテン系から過半数の支持を集め、ジェンダーや所得、政治的傾向など多くの層で先頭に立った。例外は65歳以上の高齢者と黒人で、この層ではバイデン氏の支持が多かった。
ただ、黒人の支持の面でも情勢に変化が起きている。ロイター/イプソスの先の世論調査によると、全国調査では黒人有権者の支持でサンダース氏が初めてバイデン氏を上回った。
サンダース氏がアフリカ系の有権者にアピールする上では、29日のサウスカロライナ州予備選が最初の大きな試練になる。同州は民主党の選挙人の約60%をアフリカ系が占める。
サンダース氏が14の州で予備選と党員集会が一斉に行われる3月3日の「スーパーチューズデー」で大量の票を集めれば、圧倒的な優位を築くだろう。
民主党候補の乱立はサンダース氏が選挙戦を進める上で追い風になった。
<過激ではない>
サンダース氏は自分の選挙戦は熱気が高まっており、11月の本選挙は投票率が過去最高となって特に若者や、あまり投票に行かない有権者が投票に動くと主張。22日のロイターの取材に「投票が増えることで議会選で民主党の得票率が以前よりも増えるだろう。われわれには勢いがあり、熱気があり、草の根運動がある」と述べた。
サンダース氏は25日の討論会では「私の話す考えが急進的だというのは大きな誤解だ」と述べた。「違う。どういう形にせよ、世界中の国々がこうした政策を既に導入している。医療は人権だ。すでに起きている気候変動問題への対処は必須であり、他の国は対策を進めている」と訴えた。
昨年候補争いから撤退したカーステン・ギリブランド上院議員は25日、MSNBCのインタビューで「必要なのは情熱だ。バーニーは自分の選挙戦に大量の情熱が伴っていることを示してきた」と述べた。
<懸念強める穏健派>
民主党は2018年の中間選挙において下院で過半数の議席を獲得し、その後は共和党寄りの地域で議席を守ってきた。最近になって党内穏健派の間では、サンダース氏が大統領選の候補指名を獲得すると、これまでに獲得した議席を失う恐れがあるとのいら立ちが表面化した。
民主党の穏健派議員グループ「ブルー・ドッグ・コアリション」の共同代表を務めるステファニー・マーフィー下院議員(フロリダ州選出)はサンダース氏とトランプ氏について「社会主義者を自称する候補と熱烈な独裁主義者のどちらかを大統領に選ばざるを得なくなるのではないかという不安が選挙人の間に広がっている」と話した。
政治献金を無制限に受けられるスーパーPAC(政治活動委員会)「プライオリティーズUSA」のガイ・セシル会長はサンダース氏について、若者の間で民主党への投票を広げる力をある程度持っているとする一方、「18年の中間選挙で民主党が下院を制する上で重要だった女性、特に都市部の女性に支持を拡大する必要がある」と指摘した。
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