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アングル:サウジから「自立」するUAE、OPEC紛糾の原因に

ロイター / 2020年12月2日 14時57分

 アラブ首長国連邦(UAE)は石油輸出国機構(OPEC)でサウジアラビアの考えに常に同調してきたが、そのイメージは今週になって一気に消し飛んだ。写真はOPECのロゴ。2016年9月、アルジェでの会合で撮影(2020年 ロイター/Ramzi Boudina)

[ドバイ/ロンドン/モスクワ 1日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)は石油輸出国機構(OPEC)でサウジアラビアの考えに常に同調してきたが、そのイメージは今週になって一気に消し飛んだ。協調減産の順守強化の要求を突き付けてサウジ主導の合意形成の取り組みに水を差し、OPECとロシアなど非加盟産油国でつくる「OPECプラス」の生産方針決定をどたんばで事実上延期させる役回りを演じたからだ。

こうした異例の動きは、今後は何年かかけて増産とシェア拡大を目指そうとするUAEの存在感がOPEC内で高まっていることを物語る。またUAEがサウジに対する政治的独自性を高めている表れとも言える。この独自性は、UAEがペルシャ湾岸諸国で真っ先にイスラエルと国交を正常化した事実によって、誰の目にもはっきりとした。

最近まで、OPECプラスは現在の日量770万バレルという協調減産枠を来年1-3月まで延長し、新型コロナウイルスのパンデミックで弱まった原油需要に対応するとの見方が広がっていた。複数の関係筋によると、そうした延長路線の旗振り役はサウジだった。

ところが別の3人の関係者がロイターに語ったところでは、UAEは今週、減産延長は支持できるとしながらも、来年も同じ減産幅を維持することには難色を示すとともに、生産枠を超過している全ての国が決められた減産目標を守り、これまでの過剰生産を帳消しにするための措置を講じるべきだと主張した。

UAEはこの意見を最初は11月29日のOPEC非公式会合で、さらに同30日の正式会合でも繰り返したという。

これが事態を紛糾させた可能性がある。イラクは財政面の問題からさらなる減産は不可能だと主張しており、ロシアは過剰生産の解消措置などは不必要との立場を鮮明にしていたからだ。ロシアは自国に対し過去最大の日量200万バレルの減産が義務づけられているが、5月以降で生産量が計53万バレル超過しており、目標を順守するには1カ月で同量の追加減産をしなければならない。イラクもこれまでに生産量が目標を61万バレル上回っている。

11月30日のOPEC会合では、サウジが他の加盟国に対して、現行の減産規模を3カ月延長することに正式に合意した上で、12月1日に予定されていたOPECプラスの協議に臨もうと根回しに動いた。これに対してUAEとイラクは、OPECの総意を尊重するものの、正式決定はOPECプラスの協議を経てからにしたいと異議を唱えた。

2人のOPEC筋の話では、先行き不透明感が強まったため、サウジはOPEC議長国アルジェリアにOPECプラスの協議を3日まで延期するよう正式に要請し、OPEC内でさらに話し合う時間を稼ごうとしたもようだ。

サウジ側から状況説明を受けたある業界関係者は「サウジはUAE(の態度に)心底失望していた」と明かした。

OPECプラス関係者によると、こうした不満からサウジのアブドルアジズ・エネルギー相はOPECプラスの共同閣僚監視委員会(JMMC)の共同議長を辞めると申し出た。同関係者の1人によると、アブドルアジズ氏は怒り心頭になりながらも結局は総意に従うと表明し、その後UAEに共同議長ポストが提示されたが、断られたという。

OPECプラスは、各国の財政事情を支えられるほどに原油価格を押し上げつつ、米国のシェール業界が大幅増産に乗り出すほど高値にはしないという微妙なさじ加減で生産方針を決めなければならない。

ただOPECプラスの中でも、ロシアはサウジほどには財政が苦しくないため、より低い原油価格を容認できるなど国ごとに温度差がある。

ドイツ銀行は今週のノートで、OPECプラスが減産延長できない場合、原油価格は最大10%下落する恐れがあると予想した。

それでもあるOPEC代表は「最終的にOPECと非加盟産油国は(3日に)合意に達すると思う」と楽観論を口にした。

(Rania El Gamal記者、Dmitry Zhdannikov記者、Olesya Astakhova記者)

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