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政府が新たな成長戦略案、半導体の拠点整備や労働力の移動促進

ロイター / 2021年6月2日 20時6分

 政府は2日の成長戦略会議で成長戦略実行計画案の概要を示した。環境技術や情報技術(IT)など成長分野の支援策を多数盛り込んだ。写真は都内で1月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 2日 ロイター] - 政府は2日、新たな成長戦略案を取りまとめ、最先端の半導体を国内で開発・製造するための施策や、生産性の向上を目指し、労働力の移動を促すための支援策などを盛り込んだ。

半導体の重要性が増す一方、米中対立で供給体制に不安が高まる中、国内で開発・製造するための産業基盤の整備を進める。日本の半導体メーカーが米国や台湾などと比べて高性能化の技術で出遅れている現状も踏まえ、国内に先端半導体の生産拠点を確保することを推進する。

菅義偉首相はこの日開いた成長戦略会議で「経済安全保障の観点からの、先端的な半導体の開発や立地支援を行い、低消費電力のデータセンターの分散配置を行う」と述べた。

また、新型コロナウイルス収束後も回復が鈍いとみられている飲食や宿泊、エンターテインメント業界などを対象に、業態転換や事業再構築を支援する。こうした業界での就業者を支援するため、職業訓練を行通じて事務職などに転職できるシステムの構築を検討する。企業側には勤務時間の分割、シフト制の拡大や短時間のみ勤務する働き方の導入などを求める。

政府が労働生産性の向上に力点を置くのは、安倍晋三前政権下で女性や高齢者の就労が進んで労働参加率が上昇し、他の主要国と比べて相対的に低い労働生産性の向上が課題となったため。菅首相は「生産性を向上させ成果を賃金によって分配し、消費の拡大を通じて力強い成長を実現する」と強調した。

脱炭素も進め、炭素税や炭素削減価値を市場で取引するカーボンプライシングの制度設計について議論していく。再生可能エネルギーや省エネなどの事業に使い道を限ったグリーンボンドの取引が活発に行われるグリーン国際金融センターの実現を目指す。

●このほかの主な施策

・企業の破たん処理の円滑化。事業再生を支援するため、私的整理の利便性拡大に向けた法制面の検討を行う。

・新規株式公開(IPO)で初値が公開価格を上回っても、企業に直接的な利益が十分に及ばない現状について実態を把握し、制度の見直しを図る。

・日本では未承認の特定買収目的会社(SPAC)制度について、海外規制当局の対応や市場動向などを踏まえつつ、導入について検討する。

・医薬品について、優先度の高いものは継続的な安定供給が可能となるような薬価設定を行う。抗菌薬など安定確保が必要な医薬品の原料は、国内での製造支援や備蓄制度の導入を検討する。

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