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豪中銀、0.10%に利下げ・量的緩和拡大 3年は利上げ予想せず

ロイター / 2020年11月3日 16時16分

 オーストラリア準備銀行(豪中銀)は3日、新型コロナウイルス流行の影響で深刻な景気後退に陥った経済の回復を支援するため、政策金利をゼロ%近くに引き下げるとともに、量的緩和の拡大を発表した。写真は豪中銀の建物。シドニー中心部で2017年2月撮影(2020年 ロイター/Steven Saphore)

[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(豪中銀)は3日、新型コロナウイルス流行の影響で深刻な景気後退に陥った経済の回復を支援するため、政策金利をゼロ%近くに引き下げるとともに、量的緩和の拡大を発表した。

政策金利のオフィシャルキャッシュレートは、市場の予想通り0.25%から0.10%に引き下げた。中銀はインフレ率が2─3%の目標範囲内で持続的に推移すると確信するまでキャッシュレートを変更しないとしている。また3年債利回り目標もオフィシャルキャッシュレートに合わせて0.1%に引き下さげた。

国債買い入れについては、今後6カ月間、対象に期間が約5年から10年の国債を加え、1000億豪ドル(704億米ドル)規模を買い入れるとした。5日に初回入札を実施する。

決定を受け、豪ドル/米ドル は0.7055米ドル付近から一時0.7028米ドルに下落。豪国債価格は上昇し、5年債利回りは過去最低の0.257%を付けた。

ロウ中銀総裁は声明で「見通しを踏まえると、理事会は少なくとも3年はキャッシュレートの引き上げを予想していない」と表明。「理事会は、特に雇用やインフレの見通しを鑑みつつ債券買い入れプログラムの規模を検討し続ける。必要ならさらなる対応の用意がある」とした。

新型コロナ禍で豪経済は30年ぶりにリセッションに陥り、雇用情勢は急激に悪化した。

コロナ前に5%付近だった失業率は7%近くにある。エコノミストは、政府の支援対象の人も含めれば、失業者はさらに多いと指摘する。

オーストラリアは感染拡大を抑え込み、予想より早く経済活動を再開した。ただ国内の移動や出入国は今も制限されており、企業投資や個人消費は依然低迷している。

ロウ総裁はシドニーで行った講演で「きょうの決定は、豪経済の回復を支えるため、中銀として使える手段を用い、合理的に実行可能な措置を講じる決意を反映したものだ」と述べた。

また「理事会は高失業率への対応を国としての優先課題ととらえており、雇用創出のために中銀としてできる措置を講じたいと考えている」とし、「重要なのは、きょうの決定が景気支援と失業率押し下げに向けた政府の取り組みを補完するということだ」と強調。雇用創出は主に政府と企業の役割だが、中銀としても貢献することが可能だとし、そのために取り組む考えを示した。

豪政府は今年、先月議会が可決した178億豪ドルの個人向け減税を含め、3000億豪ドルの景気支援策を打っている。

中銀が長期にわたって金利を低水準に据え置くと表明する中、エコノミストは政府がさらに財政支出を拡大するとみている。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミストはリポートで「景気支援において財政政策は引き続き主要な役割を果たす見通しで、政府は一段の対応が必要だ」との見方を示した。

中銀の措置について一部のエコノミストからは、債務を抱える家計の支援や住宅需要喚起、豪ドル安を通じた輸出業者への支援につながるものの、経済に大きな影響をもたらす可能性は低いとの声も出ている。

コモンウェルス銀行(CBA)のエコノミスト、ギャレス・エアード氏は「利下げは経済繁栄のための長期的な解決策ではない」と語った。

今回の緩和措置で、中銀の政策カードは減った。AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「伝統的な金利引き下げに関しては底をついた格好だが、他の主要中銀が示したように、量的緩和という点ではまだできることが多数ある」と指摘した。

*総裁の発言やエコノミストのコメントを追加しました。

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