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日銀の政策運営、金融緩和の持続力・柔軟性が改めて重要に=鈴木審議委員

ロイター / 2020年12月3日 12時37分

 12月3日、日銀の鈴木人司審議委員は、2%の物価安定目標の達成まで多くの時間を要すると見込まれる中、今後の金融政策運営は金融緩和の持続力・柔軟性が改めて重要になってくると述べた。日銀本店で2017年撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 3日 ロイター] - 日銀の鈴木人司審議委員は3日、2%の物価安定目標の達成まで多くの時間を要すると見込まれる中、今後の金融政策運営は金融緩和の持続力・柔軟性が改めて重要になってくると述べた。同時に、国の経済成長力を高めていくことも重要であり、金融政策がどのように貢献できるかという視点も必要との認識を示した。

福島県金融経済懇談会にオンライン形式で出席してあいさつした。

鈴木審議委員は、日銀が量的・質的金融緩和を導入してから7年半経ったものの、先行きのコアCPI上昇率の見通しは2022年度でもプラス0.7%程度と目標値からは遠く、「金融緩和のさらなる長期化が確実な情勢」とみる。

その上で、これまでのところは顕在化していないものの、今後、貸出金利の低下や信用コストの増加によって金融機関の体力が一段と低下していくと、金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済にも下押し圧力が及ぶリスクがある、との問題意識を提示した。

貸代金利については、低金利環境が長期化する中、金融機関同士の競争激化もあり、極めて低水準だと指摘。「企業の資金繰り支援として現在行われている無利子・無担保の貸出は、今後実行される一般の貸出に対してスプレッドの下押し圧力となる可能性がある点に留意が必要」と述べた。

また、感染症で資金繰りが悪化した企業を金融機関が積極的に支援していく中、一定割合が不良債権化することで、信用コストが増加していく可能性があり、注意が必要とした。

金融システムを巡っては「イールドカーブの超長期の部分が緩やかなペースでスティープ化し

ていくことは、金融機関の運用収益の改善につながり、金融緩和の長期化と金融システムの安定の両立の観点からも望ましいのではないか」との考えを示した。

日銀は物価安定目標を達成するための政策枠組みの一つの要素として、ETF(上場投資信託)やJ━REITの買い入れを行っている。鈴木審議委員は、これが引き続き必要な措置であり、資産価格のリスクプレミアムへの働きかけが本当に必要なタイミングで買い入れが難しくなることがないよう、「政策の持続力・柔軟性を高める工夫の余地を探っていく必要がある」と語った。

鈴木審議委員は、日本経済は感染症の影響による落ち込みから回復していく過程であり、当面は企業の事業継続と雇用維持を支えていくことが不可欠だと述べた。ただ、それによって生産性の低い事業が維持されたり、本来廃業しているはずの企業が延命されたりして、生産性の伸びに重しとなる副作用が生じる可能性があると指摘した。

日銀の役割として、中長期的には「社会や企業による構造改革や成長戦略を金融面で支えていくことも大切」との見方を示し、「金融機関の目利き力や市場メカニズムなどを通じて、成長分野への企業の投資を促すことで潜在成長率を高めていくという視点も重要」と語った。

*発言内容を追加しました。

(杉山健太郎 編集:内田慎一)

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