ドル107円前半、緩和余地乏しい円の売り続かず
ロイター / 2020年3月5日 15時31分
[東京 5日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の107円前半。朝方に高値107.74円を付けた後は伸び悩み、じり安傾向となった。終盤に日本や中国の株価が上げ幅を拡大したことで小幅に反発したが、緩和余地に乏しい日本の円を積極的に売る向きはいなかった。
ドルは午前9時ごろに107.74円まで上昇したものの「その1分後には107.60円付近まで押し戻された。まとまった規模のドル売りが出たもようだ」(外為アナリスト)という。この急反落の後は、市場参加者の目線が下向きになったという。
ドル売りのきっかけは、昨日反発した米長期金利が再び低下したことや、米カリフォルニア州の知事が、州内での新型コロナウィルスの感染拡大を受け、非常事態宣言を発令したこともあるとみられている。
ただ、より根本的な要因は「世界の主要中銀が景気下支えのため緩和に動くとみられるなか、日銀の緩和余地が極めて限定的なことだ」(アナリスト)とされ、日銀が大幅な利下げができないなかで、円売りの持続性は乏しいという。
米議会下院は4日、総額83億ドルの新型ウイルス対策予算案を415対2の圧倒的賛成多数で可決し、上院に送付した。感染拡大防止策やワクチン開発の費用が盛り込まれた。トランプ政権が当初要請した25億ドルを大幅に上回る予算措置となった。
「この財政措置が米国株の上昇に寄与したとみられるが、米長期金利は再び1%割れをうかがう流れとなっており、金融市場全体として、安心感がでているとは言えない」(FX会社)という。
米10年国債利回りは1.0635%付近から一時1.0030%台となり、ドルの上値を重くした。
米連邦準備理事会(FRB)は3日、新型ウイルスによるリスクへの対応として緊急利下げを実施したが、短期金融市場ではその前後にドルのキャッシュ需要が急激に強まっていた。長年の金融緩和や量的緩和で膨らんだ民間債務にまつわる信用リスクが、大幅な利下げの背景にあったとの指摘が専門家から出ている。
ニューヨーク連銀は3日、過去最大の1200億ドルをレポオペで供給し、4日も1000億ドル供給した。
「米国の緊急利下げについては、25bpでもよかったはずだが、短期金融市場でのドル資金の取り上がりを見て、市場参加者を落ち着かせるために、あえて50bpの利下げを決断したのではないか」と三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏はみている。
ドル/円
午後3時現在 107.37/39 1.1132/36 119.55/59
午前9時現在 107.70/72 1.1136/40 119.95/99
NY午後5時 107.52/55 1.1134/38 119.74/78
(為替マーケットチーム)
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